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1 高気圧と低気圧: |
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等圧線は等しい気圧をなめらかに結んだ曲線である。地図の等高線と同じで、
値(hPa)の大きい等圧線は気圧が高いことになる。
「高気圧」は同じ高さの面で比べたとき、周囲より相対的に気圧の高い領域で
あり、地形図の山と同じように閉じた等圧線で囲まれた気圧の高い領域-とい
える。
「低気圧」はその反対となる。
高気圧域内での風の吹き方は、以下のように概略的に示される。水が高所
から低所に流れるように、空気も気圧の高いところから低いところに向か
って流れる。
高気圧の中心からは風が吹き出し、低気圧の中心には風が吹き込むこととな
る。この空気の動きは数千kmにもなるため、転向力の影響を受けることとなり、
等圧線に直角に風が吹くようにはならない。
等圧線と風の吹く方向のなす角を「傾角」といって、陸上では約35度、海上で
は約20度になる。 |
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高気圧と低気圧 図-1
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高気圧と低気圧 図-2 |
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低気圧域内での風の吹く様子は、(高気圧と低気圧 図-2)に示される。
理解としてのイメージは、中心(の気圧)が1004hPaと凹み、周囲(の気
圧)の高さが1016hPaのボウルがあって、ボウルの縁から水を注ぐとする
(高気圧と低気圧 図-2)。
この場合も、水はボウルの低い中心に直線的に向かわない。転向力
を受け、右にそれるため、低気圧の中心に向かって左回り(反時計回り)
に水が集まる-風が吹くことになる。集合した風=空気は、低気圧中心
で上昇気流となるため、水蒸気が凝結して雲が形成されそして雨が降る
こととなる。
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2 高気圧と低気圧の「背」の高さ: |
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① 暖気・寒気の違いによる気圧の減少の違い(ややっこしい。) |
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高気圧と低気圧 図-3のように寒気、暖気の積み重なりによる大気
があり、地表ではいずれも1000hPaであったとする。1000hPaという気圧
は、立方体状の大気の積み重なりの結果と考えて良い。
ところで、寒気は密度が大きく(重く)、暖気は密度が小さい(軽い)。
そこで理解のため、仮に、1単位立方体あたりの寒気の気圧を1.5hPa、
同様に暖気を1hPaとしてみる。
h m 上空での寒気・暖気の気圧はどうなるか。この場合h m 上空では
4単位立方体分の気圧が失われるから、以下の計算となる。
寒気の場合は、1000hPa-1.5hPa✕4単位立方体=994hPa
暖気の場合は、1000hPa-1hPa✕4単位立方体=996hPa
地表ではいずれも1000hPaで気圧は等しくても、
寒気=994hPa<暖気=996hPa となる。
つまり「寒気は上空に行くほど、気圧の減り方が大きい」
と言うことである。
高気圧、低気圧は寒気のみ、暖気のみからなるばかりではない。中心が
暖気で周囲が寒気、中心が寒気で周囲が暖気の高気圧・低気圧があり、
暖気・寒気の違いによる気圧の減少の違いから高気圧と低気圧の「背」の
高さの問題が生じてくる。 |
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高気圧と低気圧 図-3
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② 温暖高気圧=背の高い高気圧 |
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高気圧の中央が(相対的に)「暖気」で周囲が「寒気」である場合を、
「高気圧と低気圧 図-3」にならって考えよう。
この場合も、考えのために1単位立方体あたりの寒気の気圧を1.5
hPa、同様に暖気を1hPaとし、 hm 上空での気圧を比較する。
h m 上空では
寒気の場合は、988hPa-1.5hPa✕8単位立方体=976hPa
暖気の場合は、1000hPa-1hPa✕8単位立方体=992hPa
となり、
地表で 寒気=988hPa VS 暖気=1000hPa その差12hPa から
hm上空で 寒気=976hPa VS 暖気=992hPa その差16hPa へ
高さが高くなるにつれ、気圧差が拡大していることが分かる。
つまり、高気圧がより「高気圧らしさを強めている」といえる。
これをもって、「背の高い高気圧」と言い換えることとする。 |
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高気圧と低気圧 図-4 |
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ハドレー循環(19 大気の構造 (1)「ハドレー循環(George Hadley
1735年)」=赤道~低緯度(30度)での大気の循環)によってエネルギ
ーと共に大気がN30度付近にもたらされ、亜熱帯高圧帯が形成されること
を先に学んでいる。
N30度付近は、赤道地域に比較すれば相対的に「寒冷」な場所である
から、亜熱帯高圧帯の気流収束帯は「寒冷」な地域に、「暖気」(冷えて下
降してもなお)が下降気流となり高気圧が形成されることになる。つまり、
周りは相対的に寒冷で、中心は温暖な高気圧=「温暖高気圧」が形成される。 |
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「① 暖気・寒気の違いによる気圧の減少の違い」(高気圧と低気圧
図-3)ですでに学んだように、上空に行くほど「寒気は気圧減少が大きく、
暖気は小さい」。
「温暖高気圧」の周囲は「寒冷」、上空ほど気圧の減少が大きくなる。一方、
「温暖高気圧」の中央部分は「温暖」、高圧を維持する。それゆえ、温暖高気
圧では上空に行けば行くほど、高気圧の性質を強めることとなる。つまり、
「温暖高気圧は背の高い高気圧」、高層天気図上にも高気圧として現れること
となる。温暖高気圧として、夏に日本付近に勢力を張り出す「太平洋高気圧(小
笠原高気圧)」がこれに属する。(高気圧と低気圧 図-5) |
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高気圧と低気圧 図-5
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③ 寒冷高気圧=背の低い高気圧 |
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ここまで来れば大体理解が進んだことだろう。「高気圧と低気圧 図-6」を参
照してほしい。高気圧の中央が(相対的に)「寒気」で周囲が「暖気」である場合、
地表では高気圧の中心-気圧が高かったのが、「寒気」のために気圧減少の割
合が周囲(暖気)より大きく、上空に至って低気圧となってしまっている。高気圧と
しての性質は高空まで維持できていないので、「背の低い高気圧」とよばれる。寒
冷高気圧は冬期、大地に接触した大気が冷却され密度を増して形成されるもので、
その代表例は冬将軍「シベリア高気圧」である。
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高気圧と低気圧 図-6
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④まとめとして、「高・低気圧の背の高さ」 |
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これまで学んできた「背の高さ」の断面について模式的にまとめれば、次のように
示される。(高気圧と低気圧 図-7)
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高気圧と低気圧 図-7
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gorge,canyon:峡谷、analyse:解析する、analysis:解析、分析、the highest:最高、impure
,become muddy:濁る、hot spring:温泉、facility(facilities):設備、definition:定義
、anisobar:等圧線、atmospheric pressure:気圧、contour:等高線、surroundings,environment:
周囲・環境、relatively(absolutely):相対的に(絶対的に)、right angle:直角、
comprehension:理解、comprehend、understand:理解・納得する、edge,rim:縁、pour into ~
:~に注ぐ、linear:直線的な、condense,congeal:凝縮・濃縮する、density:みつど
、magnify:拡大する
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