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Mona Lisa(ルーブル美術館)
 レオナルド・ダ・ビンチ(1503~1506年)による作。モデルはフィレンツエのフランチ・デル・ジョコンド夫人で,制作当時24~27才であったという。守衛さん(左下に制帽が見える)が警備にあたっている。
コンヤ(トルコ) メブラーナ博物館
予言者マホメット(570?-632)の髭の入った螺鈿(らでん)の小箱。マホメット40才の時,ヒラー山の洞穴で神の啓示を受け予言者として伝道を行った-という


No.13 変成作用と変成岩
 1 変成作用(メタモルフォーゼ)を学ぶには,この話は欠かせない。
 1991年の発売らしいが歌手の工藤静香さんが,なんと「メタモ

ルフォーゼ(metamorphose(動詞)=変形・変化させる。変成さ

せる。)」と題してCDを出していたのである。

 歌詞は,「ダメな振りをしているけど,本当はあなたのことが

許せるから,私を変えていいのよ。」と言う内容? と言って良

いのかな?作品鑑賞はあまり得手ではないので,このような

ことかな?と。

  metamorphoseの派生語には,metamorphism(名詞)=「変成作

用」,metamorphic(形容詞)=「変成の」,の語があり変成岩は

metamorphic rockとなる。

 静香さんの「メタモルフォーゼ」を作詞した作詞家の語彙の豊

富なこと,そしてその言葉を歌詞に使いまわす鋭い感性とアイ

デア,さすがです。

 ちなみに作詞は松井五郎さん,一度聞いてみて下さい。





 2 変成作用


 変成岩はマグマから火成岩が作られるように,「変成作用」によって新たに岩石が作られるのではない。変成作用は,「もともとあった岩石(鉱物)が,高温・高圧の状態におかれることによって,その条件で安定となるよう,固相のままで原子・イオンの配列を変換して新しい鉱物からなる岩石に変化する過程。」である。(もともとあった岩石を「原岩」という。)




 変成作用を受ける前の原岩は,色は緑でフォードア,屋根には何か飾りがある。これが変成作用を受けることによって,色も異なれば形も異なる新しい車(=変成岩)に変化する。
 
 3 多形(または,同質異像(どうしついぞう))



多形(または,同質異像(どうしついぞう))
   =化学成分は同じでも,互いに結晶構造の異なる鉱物の関係。

 図のように,藍晶石(らんしょうせき),紅柱石(こうちゅうせき),珪線石(けいせんせき)はいずれも化学式は AlSiO でも,結晶構造は互いに異なり,「多形(たけい)」の関係にあり,それぞれが安定な温度・圧力条件が示されている。

 大ざっぱにいえば,珪線石は比較的に高温で,藍晶石は高圧で,紅柱石は中温・低圧でそれぞれ安定である-と言える。このようにこれらを含む多くの変成鉱物の安定条件が実験によって確かめられているため,採取された各変成岩に含まれる変成鉱物の種類・違いによって,その当時の変成作用の温度・圧力条件を推定することができる。 

 高校地学では,次の4つの多形を押さえておくことが重要。



化学式 鉱物
C 石墨 ←→ ダイヤモンド
CaCO3 方解石  ←→ アラレ石
SiO 石英  ←→ クリストバル石
AlSiO 藍晶石 ←→ 紅柱石 ←→ 珪線石



石墨(graphite)とダイヤモンドは多形(同質異像)の関係

 炭素原子の結合の仕方の違いで、石墨とダイヤモンドは鉱物の色も、硬度も、透明度も異なる。
 石墨は、炭素原子が六角板状につながったものが、層状に重なる。層と層の結合は弱く、はがれやすい。石墨は、粘土とともに練り込まれ、鉛筆・シャープペンの芯に用いられる。紙の上に文字として残ることになる。
 一方、ダイヤモンドは炭素原子が立体的に結合し、結合が強靱なため、硬度は10と最も硬い。

石墨(graphite)の内部構造 


石墨(graphite)の産状    

ダイヤモンドの内部構造   
                     

ダイヤモンド
                        
上の4枚の写真は、国立科学博物館(東京・上野)の展示によります。





 4 変成作用の分類
     

     (1)接触変成作用

  泥岩,石灰岩など(=原岩)が深成岩マグマの貫入(かんにゅう)によって熱を与えられ,粗粒(大きな結晶)な新生鉱物からなる岩石(=接触変成岩)に再結晶が行われる変化。
原岩 メタモルホーゼ 接触変成岩
泥岩,砂岩   接触変成作用 ホルンフェルス*
石灰岩 結晶質石灰岩(=大理石★(マーブル))
 *ホルンフェルス=hornfels,horn=角,触角,楽器のホルン(角笛),fels=岩石, ホルンフェルス=hornfels=「獣の角のように硬い岩石」の意。

★大理石=marble
、マーブル チョコレートってありますよね。
 

    (2)広域変成作用


 造山運動に伴い温度の上昇の他,原岩が高圧の状況におかれることによって行われる変成作用。
 温度・圧力条件の違いによって
 
 ①低温高圧型広域変成作用,

 ②高温低圧型の二つに分類される。

 (変成作用の温度・圧力条件の違いが,先の Al2SiO5 多形鉱物が新たに形成される広域変成岩にどのように含まれるかの違いとして反映される。)

 
原岩 広域変成作用 形成される広域変成岩
泥岩,砂岩 ①低温高圧型 千枚岩,結晶片岩
泥岩,砂岩 ②高温低圧型 片麻岩


 結晶片岩(角閃石-石英片岩)の顕微鏡スケッチ。

 針状の角閃石,石英・斜長石が縞状に配列し,片理を構成している。

 
 片麻岩(ザクロ石-黒雲母片麻岩)

上の結晶片岩と比較すると,片理はさほど発達しておらず,また結晶が大きいのがわかる

角閃岩

(高校地学では習わない。等粒状の緑簾(りょくれん)石-角閃石からなる。スケッチの直径は2mm)


大歩危峡(おおぼけきょう) 三波川結晶片岩からなる渓谷



 低温高圧型変成帯である三波川変成帯。三波川結晶片岩は、中央構造線の南側に、帯状に関東山地から九州東部まで
約700kmの長さにわたって分布する。関東山地では長瀞、四国では大歩危、小歩危(こぼけ)など、特異な渓谷美を示してい
る。
 変成の時代は白亜紀後期と考えられている。

地学で学ぶ 英単語 No.13

制作する:produce,product(n) 語彙:vocabulary 豊富な:abundant,rich,圧力:pressure,高圧:high pressure,

状態:state,conditions,安定した:stable,steady,(不安定な:unstable,unsettled),同質異像:isomorphism,

三重点:triple point,炭素:carbon,石墨:graphite,石英:quartz,不純物:impurities,(純粋な:pure),接触する:contact,touch,

粗粒な:coarse,広域的:regional,造山運動:orogenic movement,針:needle,針状の:needle like,渓谷:canyon,ravine











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