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四国 四万十市 佐田の沈下橋
四万十川が増水したとき,水中に潜ってしまう。流木などが引っかからないよう欄干が設置されていない。
八重山諸島 西表島から由布島
水牛車で由布島へ。海の深さが40~60cmで水牛車で由布島を往復する。沖縄や八重山では時間の進み方が遅く感じられる。これは誰でもそうだろう。現地の人は?
中国 都江堰(世界遺産)
山民江を分流させる魚嘴。2006年に撮影。2008年5月12日,マグニチュード7.9~8.0の四川大地震が発生。都江堰も被害を受けた模様。
ニッコウキスゲ (三ツ石山荘)
7月中旬。ユウスゲ。花は夕方開花し翌日の午前中にしぼんでしまう。


No.8 アイソスタシー
isostasy 地殻の静的な釣り合い  iso=等しい state=状態
 
アイソスタシーの概念は理解しにくいことではありませんが,

「アイソスタシーの計算問題が・・・」と言う人はたくさんいます。

2つのポイントを理解できれば,「アイソスタシーの計算」はク

リアできます。

アイソスタシーは「密度の小さい氷が密度の大きい水に浮か

ぶように,密度の小さい地殻が密度の大きいマントルに浮か

んだ状態で地殻の均衡を保っている。」-という考えです。





さて,上の右の図はアイソスタシーが成立している状態を表

しています。マントル(密度p')に断面積Sの角柱状の地殻(密

度p)が浮かんで釣り合っています。角柱はマントルの表面か

ら,上方にhその上部を出し ,h'の深さ沈んでいます。この角

柱状の地殻はその中心で,マントルから受ける浮力(角柱が

排除したマントルの体積×マントルの密度×重力加速度 g )

と角柱の受ける重力(角柱の体積×地殻の密度×重力加速

度 g )と釣り合っています。(角柱は浮かび上がることも,沈む

込むこともないので「釣り合っている」ことになります。)

 アルキメデスの法則を思い出しましょう。「液体中にある物

体は,排除した液体に加わる重力の大きさの浮力を受ける」

ですから,角柱の受ける浮力(上向き)=h'×S×p'×g
     
角柱の受ける重力(下向き)=(h+h')×S×p×gh'×S×p'×g

=(h+h')×S×p×gh'×p'=(h+h')×p────①式
 
①式から考えられることは,「補償面上の点A,Bの上方にある

物質の質量は等しい」-と言うことです。補償面上であれば,

どこでもこのことは成り立ちます。
 
図のC点において,マントルから上方に出ている部分の高さを

x ,マントルに沈んでいる部分の深さを y としてC点上の質

量を求め, h'p' または (h+h')p に等しいか吟味すると正しい

ことが分かります。
 
すなわち,アイソスタシーの2つのポイントは




                                         となります。

 それでは練習問題を解いてみましょう。

   標高0kmの平野で地殻の厚さを測定したところ,

10kmであた。アイソスタシーが成り立っているもの

として,標高9kmのエベレストの地殻の厚さを求め

なさい。

ただし,平均密度は地殻2.8g/cm3  

マントルが3.3g/cm3 とする。

解答
 
問題文を読んで必ず柱状図を書きます。これが書ければ,60%

は解けたも同然



「ポイント① 質量=密度×長さ(深さ)」ですから

補償面上のAの上にある物質の質量は 

2.8g/cm3 × X──────────────────1式

補償面上のBの上にある物質の質量は

厚さ10kmの地殻 + 厚さ(X-19)kmのマントルですから

2.8g/cm3 × 10km + 3.3g/cm3 × (X-19)km─── 2式

「ポイント② 補償面上の物質の質量は等しい」ですから

1式=2式
 
すなわち,

2.8g/cm3 × X= 2.8g/cm3 × 10km + 3.3g/cm3 ×

(X-19)km

Xについて解いて,X= 69.4km

    標高9kmのエベレストの地殻の厚さは69.4km

と求められました。その後,浸食が進み頂上から

5km分の地殻が失われたとします。アイソスタシー

が成り立つものとして,エベレストの標高はいくらに

なるでしょうか?海水面の変動はなく,5km分の地

殻は限りなく遠いところに運搬されたものとします。

(平均密度は地殻2.8g/cm3  

マントルが3.3g/cm3 )

 図1の右の図から分かるように,地殻が薄くなると補償面から

浮かび上がりますが,標高が低くなることが分かります。

そこで,いつものとおり柱状図を書きます。これがなかなか難

しい。




「ポイント① 質量=密度×長さ(深さ)」ですから

補償面上の①の上にある物質の質量は 

2.8g/cm3 × 69.4km─────────────── 1式

補償面上の②の上にある物質の質量は

厚さ64.4kmの地殻 + 厚さ(X-4)kmのマントルですから

2.8g/cm3 × 64.4km + 3.3g/cm3 × (X-4)km─── 2式

「ポイント② 補償面上の物質の質量は等しい」ですから

1式=2式
 
すなわち, 

2.8g/cm3 × 69.4km= 2.8g/cm3 × 64.4km

+ 3.3g/cm3 × (X-4)km

3.3g/cm3 × X= 2.8g/cm3 ×5km+3.3g/cm3 × 4km

∴ X=8.24km



                     
 地学で学ぶ英単語 No.8

沈下・沈降:subduction、出水する・氾濫する:flood、設置する・設置:establish establishment、概念:concept、発生させる・引き起こす:generate、密度・濃度:density、 バランス:balance、 沈む:sink、 go down (to the bottom); go under water 、計算・計算する:calculation calculate、面積:area、重力:gravity、法則:law、自然法則:law of nature、平均・なみ・平均的な:average、上向きの・上へ向かう:upward、(downward)、厚さ:thickness、侵食する:erode・erosion、 腐食する:corrode、頂上:summit、運搬する:transport・carry・convey、
   


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