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 No.31 太陽
 
   
  鏡平(標高約2200m)-鏡池に映る朝日 8月17日6:30頃 図-1
 

  左から槍ヶ岳、ゆるやかなピークの大喰岳、やや鋭い

山稜の中岳、ゆるやかな山稜の南岳と続く。ここは標高

約2200mと高いが緯度が低くいため、オオシラビソ、ダケ

カンバの樹林帯となっている。緯度の高い北海道大雪山

旭岳(HP No.16)、北海道日高山脈北トッタベツ岳

HP No.15)、岩手山(HP No.1,10)、秋田駒ヶ岳・岩手県

早池峰山(HP No.6)、宮城県蔵王(HP No.10)の山々は

緯度が高く、1500~1600m以上の標高では這い松地帯、

砂礫地帯となっている。
 
 特に早池峰山は超塩基性深性岩体(蛇紋岩)からな

るため、Na、K、Al、Siに乏しく多量に供給されるFe、Mg

に適応できる希少な植物(高山)が分布している。

 
 
  Gizaから南、Nile Expressで1時間ほどのところ。夜明け。
  図-2


Nile ExpressはAswanとGiza間、 780kmほどを約12時間

で結ぶ列車。Aswanを前日18:00に出発し翌日7:30頃Giza駅

に到着する。 24時間オープンのレストランが連結されて

いる。

  列車はAswan(≒北緯24°)とGiza(≒北緯30°)間-

亜熱帯地域のナイル川に沿って走るため、 荒涼とした砂

漠は見られなく、ブーゲンビリア、棕櫚の木など南国の景

色が見られる。



  
 

 
         国立科学博物館          図-3

  二つの望遠鏡(再現)が展示されている。 

 左上から右下に斜めに見られる筒状のものがガリレイの作

 った望遠鏡。その下に架台に乗ったものがニュートンの

 反射望遠鏡。

  やや見えにくいが向かって右上がガリレイ、左下がニュートン

 の肖像。


     
  ガリレイの黒点のスケッチ     図-4

            伊藤和行(2013)ガリレオ  中公新書

   プトレマイオス(左)、

 ガリレイ(右)のレリーフ画
(葛飾区 郷土と天文の博物館)              
                                                                             
                                                                    
図-5 ガリレオ・ガリレイ
                                                                    
伊藤和行(2013)ガリレオ 中公新書

  プトレマイオス(AD 90年~170年頃、古代ローマの数学・天文学者)は太陽までの距離測定を試みて、地球半径の1200倍と見積もったという。

 太陽についての研究は、ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)が自ら望遠鏡を作り(これには諸説がある(後述))天空を観察することによっ

 て飛躍的に発展したと行って良い。


  望遠鏡に必要な「レンズ」について古代アッシリアには知られていた。ギリシア~ローマ時代においてはガラス球に水を入れ、太陽光線

を集めて火を起こしたと言われている。


  1609年ガリレイは凸レンズと凹レンズを組み合わせて望遠鏡を作り、月のクレーターの発見、木星の衛星と衛星の公転、太陽の黒点

 と太陽の自転について言及している。

  しかし当時、彼の発見は望遠鏡の不具合が原因とする観察結果であるとする見解が述べられたり、なかなか賛同を得られなかった。


  「地上界」は土・水・空気・火よりなり、また変化し、有限であり、不完全の物であるが、「天上界」」はエーテルからなり不変、無限、完全とい

 う「哲学」観があった(アリストテレスの自然観)。例えば月は天上界にあるのだから真円で「クレーターなどあってはならない」、したがってガ

 リレイの観察したクレーターはあり得ない-というのである。

  太陽の黒点に関しても同じ論理であった。黒点に関しては、存在を認めても太陽表面にはなく、太陽からある距離だけ離れた球面が

あり、そこに黒点がついているというのである。

  ガリレイは極めて根気強く、実証的に自説を主張した。ガリレイ反対派は「哲学」では、ガリレイの主張を説き伏せることはできないと危機感

を感じ、「神学」論に持ち込んだのである。


  すなわちガリレイの主張は旧約聖書の記述にそぐわないとし、彼は「異端審問」に問われ有罪判決を受けるに至るのである。


  望遠鏡の作成について、1608年、ガリレイより1年早くオランダのハンス・リッペルスハイという説。年代不詳ながらヤンセン、またはメチウス

 ではないかとの諸説がある。





     

  もっとも地球に近い恒星でも4.29光年で非常に遠く、地球に近い恒星の一つ

 である太陽を調べることは恒星や銀河、宇宙を解明する一歩になるわけです。

 しかし、次に示されるように太陽表面は高温で容易に近づいて調べることはでき

 ません。

              1 太陽の質量を求める




図-6

  地球は太陽の引力と遠心力と釣り合い公転している。したがって 

    

      

  

  太陽の質量 2✕1030kg




             2 太陽の燃料と年齢


  

 国立科学博物館3Dハガキ

  すでに当HP No.17「太陽からのエネルギー供給、熱収支」で学んだ

ように、太陽は膨大なエネルギーを長期間にわたり宇宙空間に放射し

続けてきている。

 われわれが現在こうして元気でいられるのも、もとはといえば太陽のエ

ネルギーが変換された野菜であり穀物であり魚・肉を体内に取り入れて

いるためで、われわれは、太陽を起点とする「エネルギー連鎖」の終点に

位置している。


 太陽の「燃えさかっている」様子から、その「燃料」は何か?石炭ではな

いかなどと考えられたこともあった。が、燃料が石炭ではこれまで50億年

(太陽の年齢)も輝いて来られないことが次第に分かって来たのである。


  「太陽の燃料探し」の考え方はそれほど難しくはない。

 太陽の質量が上の計算で出ている。

  一方、
HP「17 太陽からのエネルギー供給、熱収支」で太陽定数について学習し、「太陽放射全エネルギー量(1秒あたり)=半径1.5億km

(✕1000m)で作った球の面積(m)✕太陽定数(1.366✕10W/m )」を計算した。言い換えれば、太陽放射全エネルギー量とは「太陽のエ

ネルギー消費量」のこと。地球上の様々な物質1kgあたりの燃焼発熱量が分かっているわけだから、上で計算された太陽の質量(1.989

✕1030kg)に物質1kgあたりの燃焼発熱量を掛け、太陽放射全エネルギー量(=太陽のエネルギー消費量)(1秒あたり)

で割れば太陽の輝ける時間が計算できる。

 そこで石炭ではないか?木炭ではないか?水素ではないか?計算された。19C半ば地球の年齢は数億年と推定されており(チャールズ 

ライエル(Charles Lyell)「地質学原理」(1830~1833))、これらの物質から計算された太陽の輝ける時間≒年齢は、地球より極めて若い値

 となって(マイヤー(1848))、兄(太陽)が弟(地球)より年下という矛盾を生じたのである。


  ところで、ライエルの「地質学原理」には「斉一論」が述べられている。簡単に言えば「現在見られるゆるやかな変化は、過去においても

同じように(斉しく)ゆるやかなものであっただろう」。つまり、地形的な変化はごくごくゆるやかに進み、長い時間をかけて変化してきたもの

であろう-という考え。

 例えば、川の中・下流、あるいは河口で砂や泥が堆積するが、その速度は極めて遅い。そしてそれらが堆積し砂層、泥層あるいは砂岩層・

泥岩層となる。そして地球の内的営力によって陸にになって目の前に現れる。そのようになるのに非常に長い時間がかかると、考えるのである。

 もちろん突発的な火山爆発・溶岩の流出・火山弾、火山灰の放出、大地震による津波などはあることは否定できない。

 しかし、ライエルの「斉一論」は「現在は過去を知る鍵である」として過去の地質時代が調べられるきっかけになり、またダーウインの進化論に

大きく影響を与えた。

 
  なお、アッシャー大主教はBC4004年(月日時刻まで発表している)に地球が創造されたとし、またフランスのビュフォン(1778)は地球の年齢を

 7万5千年と見積もっている


 
  太陽のエネルギー源=水素の原子核融合反応

 原子核融合エネルギーとは、水素のように軽い原子核同士が衝突し、別の種類の重い原子核に変換される時発生するエネルギー。

 太陽の中心付近では次のような原子核融合が行われているらしい。

  4H+ →He+2ニュートリノ+2陽電子+エネルギー

  2陽電子+2電子→γ線


  例えばこの反応で1kgの4H+ から0.9929kgのHeが生成され、7.1✕10-3 kgの質量欠損が生じる。

  アインシュタインは質量とエネルギーは等価であるとして、

  E=mC

  (E=エネルギー(J)、m=欠損質量(kg)、C=3.00✕10m/s(光の速さ))

  以上の式を提案した。

 これによれば、1kgの4H+ からE=7.1✕10-3 (3.00✕10) =6.39✕1014 J という膨大なエネルギーが生み出される。


  ニュートリノ:太陽から放射される謎の粒子。質量不明、人体をも透過し蛍光・電離作用がある。岐阜県の旧神岡鉱山跡に「スーパーカミ

オカンデ」を 設置し、ニュートリノを観測しノーベル賞を受賞した(2002年)のが小柴昌俊先生(東大名誉教授)。

  また太陽の中心で作られた光は、太陽の表面(光球)に出て来るまで数百年から十万年かかるが、太陽の中心で同時に作られたニュート

リノは光速で宇宙空間に飛び出す。

  したがって、ニュートリノを観測することは「現在の太陽の核で起きていること」を知ることと同時に、数百年から十万年後の太陽からどのよう

な「光・エネルギー」がやってくるか知ることになる。(ペンシルベニア大、デービス Raymond  Davis 2002年ノーベル賞受賞)
 


            3 太陽の表面温度

 
 
   太陽の表面温度を求めるには様々な方法がある。はじめにウィーンの変位則を用いて測定する方法で恒星の表面温度を推

  定するのにも用いる(恒星の世界で説明の予定)。

   物体はその温度に応じてその表面から電磁波を放出している(ウィーン(1893))。彼は、物体の表面温度(絶対温度(T))ともっとも

 強く放出される電磁波の波長(λm)は反比例の関係にあることを発見した。すなわち


   λm・T=C(constant=一定)、Cの値は2.89✕10μm・K


  太陽からもっとも強く放射される電磁波の波長が、λm=4.75✕10-1 μmである。すると

  4.75✕10-1 μm・T=2.89✕10μm・K より、T=6.08✕10K と太陽の表面温度が算出される。
  太陽の表面温度は6080度(絶対温度)





   次に太陽の表面温度を求める方法に、太陽定数とシュテファン・ボルツマンの式(恒星の世界で説明の予定)を用いる方法がある。

    シュテファン・ボルツマンの式は「ある温度の物体の表面の単位面積(1m2)・単位時間(1sec)あたり発するエネルギー(E)は、温度(T)

     の4乗に比例する」という。比例定数をσ(シグマ)=5.67✕10-8W/m2・Kとすると、E=σ・T4 で示される。


 
                         

                                        図-7

   太陽の表面温度をT(K(絶対温度))とすると、シュテファン・ボルツマンの式、球の表面の公式を用いると、太陽の表面から宇宙空間に向

  かって毎秒4πR太 ・σ・T4 のエネルギーが放出されている。

   このエネルギーが宇宙空間を通過する時減衰することなく地球の大気の上面に達した時、1.37✕10 W/m 、太陽定数(S)となっている。

   さらに、このエネルギーは、半径R太~地で描いた球面の1m にあまねく分配されている(HP「17 太陽からのエネルギー供給、熱収支」)。


   このようなことから、エネルギーの釣り合いについて、太陽側(エネルギー放出側)と地球側(エネルギー受け取り側)に分けて考えると

    太陽側(エネルギー放出側)4πR太 ・σ・T4 -①

    地球側(エネルギー受け取り側 4πR太~地 ・S-②

    ①=②だから、 4πR太 ・σ・T4 =4πR太~地 ・S 、 

    R太 ・σ・T4 =R太~地 ・S 、
   、  -③式

   ③式に、R太~地=1.496✕1011m、 R太=6.96✕10m、S=1.37✕10 K・W/m

   σ=5.677✕10-8 W/m ・K を代入、計算すると、T=5.73✕10K の値が得られる。
 太陽の表面温度は5730度(絶対温度)
 


 

            4 太陽の構造




図-8

   太陽の構造

 ① 核 

  半径10万km、中心温度1600万K、密度160g/cm3、2500億atm、毎秒50億kgの水素の核融合が行われている。核と放射層の境付近で900万Kと見積もられている。


 ② 放射層

  核を包む厚さ40万kmの層、中心部で作られた核エネルギーが「熱放射」の形で外部に向かって伝えられる部分。光は放射層、対流層を抜け出るのに数百年から十万年かかると言わ  れる。放射層と対流層との境付近で200万K。


 ③ 対流層

  太陽の表面から深さ20万kmまでの部分。プラズマ(水素原子が高温のため分解し、陽子と電子に電離した気体)が対流し光球(普段われわれが太陽と呼んでいる)にエネルギーを運  搬。


 ④ 光球

  太陽として丸く見える部分。厚さ400kmほどの球殻状のガス層。表面温度は6000K


  光球面に見られる諸構造

  (1)粒状斑:光球全体に見られる米粒状の模様。対流層のプラズマの最上昇部で10分程度で更新される。

  (2)黒点:強い磁場のために熱上昇が妨げられ周囲の温度より低く(4000K)黒く見える。11年周期で活発化する。太陽の表面、緯度にして低
    緯度(±35°)に集中して出現する。
    黒点の観測はガリレイが有名であるが、紀元前、中国の文献に記述があるということである。

                  

                  1994.3.  6cm 屈折望遠鏡で撮影 図-9
                    不明瞭ながら黒点が見える

  
  (3)白斑:黒点の周囲に点在。黒点の存在で押さえられていたエネルギーが上昇、温度が6400Kとやや高い。 白斑の現れる一帯を
    「太陽の活動領域」


 ⑤ 彩層

 光球を包む厚さ2000kmほどのガス層。6000~10000Kで皆既日食の際薄赤色にみえる。彩層内での爆発をフレア。


 ⑥コロナ

 光球を包む希薄なガス(プラズマ状態、200万K)層。太陽の半径の10倍以上の広がりを持つ。白色で普段は見えず、皆既日食時に見ることが出来る。コロナホールがありここから太陽  風(プラズマの流れ)


 ⑦プロミネンス(紅炎)

 彩層の一部がコロナ中に突出したもの。     
図-10 田近英一(監修)惑星・太陽の大発見(新星出版社)


 ⑧フレア

 フレア(太陽面爆発)が起こるとプラズマ、X線・紫外線が宇宙に放出・拡散される。このため地球上では次のような現象が発

生する。

 フレアは1859年アマチュア天文家キャリント(英)が発見したと言われる。

  (1)プラズマによる

   磁気嵐=地球の磁場に捉えられ、地磁気の一時的な異常

   オーロラの発生=緯度にして65°以上の高緯度ではオーロラは日常的に発生している。が、フレアが起こると、プラズマが地球の熱圏の大気を刺
                激し発光(放電現象)させるため、オーロラが通常より頻繁に発生する。


                              

                     図-11                              図-12

             
            (第54次南極地域観測隊 井 智史隊員撮影 出所milsil No.5 2014 vol.7 独立行政法人 国立科学博物館)

              図-11  オーロラとともに不鮮明ながら沢山の星が写っている。写真下に道標が立っていて、上の左向きの矢板には

              「SOUTH POLE 2300km」、上から二番目の右向きの矢板には「CAPE TOWN 4100km」、三番目の右向きの矢板には

              「NORTH POLE 18000km」と書かれている。





                  オーロラ 発光の仕組み     


   俳句 「
古池や 蛙(かわず)飛びこむ 水の音」(芭蕉)でオーロラの発光現象の説明を。

  古池(=大気中の原子)に蛙(=荷電粒子)が飛び込む。それまで平静であった水面から水滴が跳ね上がる(原子中の電子の励起状態=

 エネルギーを高く帯びた状態)。しかしいつまでも水滴(励起状態の電子)は空中に留まっていることはできないので池に落下する(もとの電子

 軌道の位置に戻る)。この時、水が「ぽちゃん」やら「ぽとん」など音がする。「音がする」のは「タダ」ではなく得たエネルギーを放出したからで、

 「水の音」に対応するのがオーロラということになる。蛙の飛び込む高さが変われば、音の強さは変わってくる。


  オーロラの色は地球大気に侵入する荷電粒子のエネルギーの大きさと、大気中に存在する衝突される原子の種類(窒素、酸素)との関係

 で決まってくる。

  地球からの高度が高ければ、荷電粒子のエネルギーは大きくなくても侵入できやすい。またO原子がN原子より相対的に多く存在するため、

 荷電粒子はO原子の電子に衝突し、それほど大きくない励起状態に置く。その結果、エネルギー的に低い赤色のオーロラが出現する。

  一方地球からの高度の低いところには、エネルギーの大きい荷電粒子でなければ侵入できない。またN原子が相対的多く存在しているため、

 荷電粒子は衝突してN原子の電子を一旦高い励起状態に置くことになる。その結果その結果、エネルギー的に高い赤紫色のオーロラを出現

 させる。(図-11,12))


  荷電粒子が原子に衝突し電子を励起状態にする代わりに、原子を加熱し電子を励起状態にすることができる。中学校の理科の実験で行った

 「炎色反応」も同じでNaは「黄色」、Kは「紫色」・・・。




  (2)X線・紫外線による

   短波通信障害を引き起こす


          5 地球は巨大な磁石になっており、太陽風や宇宙線が地球

に押し寄せて来ることからバンアレン帯が形成

 
  バンアレン(Van Allen(1958年 当時アイオワ大学))は、地球を360度、内帯と外帯と二層にドーナツ状にとりまく放射線帯を発見した

(バンアレン帯)。 形状は図-13のようになっていると言われて、内帯は赤道上およそ高度4000kmに位置する帯で、高速の陽子・電子が多く、

外帯はおよそ20000kmに 位置する大きな帯で高速の電子が多い。赤道付近が最も層が厚く、高緯度に向かって厚さが薄くなっている。


  

 





図-13 (JAXA'S No.67 January 2017 p.17より転用)

 図-13の中央の球体が地球。これを取り巻く赤紫色の二つのドーナツ状(断面が示されている)の部分がバンアレン帯。

太陽は向かって右側にあり、太陽風(黄色)が地球の磁気圏に向かって打ちつけられている。地球を焦点に黄色の衛星軌道が描かれ

ているが、「ジオスペース探査衛星(ERG(exploration of energization and radiation in geospace))プロジェクト」で打ち上げられる衛星の軌道。

このプロジェクトはバンアレン帯を観測して、太陽風による「宇宙天気(space weather)」の変化を明らかにしようとするもので、このプロ

ジェクトには国内外から100名以上の研究者が参加している。




 
   放射線はそれ自体が物質と反応して電離させるもので例えば、α線( He2+)、β線(β崩壊では電子、β崩壊では陽子)、γ線、X線、

  中性子線 である。

 地球にやってくる放射線の90%近くは太陽起源といわれ、残りは星の最後の大爆発である「超新星」(恒星の世界で説明の予定)に由来すると

 言われる。


  誰でも放射線と聞けばなんとなく恐ろしいと思っている。放射線は粒子が小さいのに、あるいは波長が短いのにエネルギーが高いことに恐ろし

さがある。

  先に「物質と反応して電離させる」とあるように生物の細胞のタンパク質や核酸に働き、これらを構成する原子を電離させてしまう。この結果、細胞

 の働きが低下したりDNAが破壊されたりし、最悪の場合細胞が死滅する。このことは人間で言えば「死」を意味する。


  さいわい、地球は大きな磁石=強力な磁界を持っており、太陽や宇宙からの放射線をトラップ(捕まえる)してくれるために、地球上に細胞=生命

 が存在しうる。


 




図-14 「地磁気とは何か」畠山唯達 milsil No.5 2014 vol.7 p.8 図3 の一部 独立行政法人 国立科学博物館


  
  図-14の青・赤の曲線は磁力線。磁力線はN極からS極に向かうよう矢印を描く約束になっている。地球の南極付近には地磁気のN極が、

 地球の北極付近には地磁気のS極があるので、図-14では磁力線の矢印は、地球の南極付近を下向きに出て、やがて上向きに変わり、地

球の北極付近で再び下向きに戻って収束する。

 図-14の赤の磁力線は地球から離れる方向(上向き方向)を示し、青はその反対を表している。


 

  電子や陽子は-や+に帯電している。地球は大きな磁石で、地球のバリアとなっている地球(昼側)の磁気シールドをくぐり抜けた電子や

 陽子、あるいは夜側の地球から入り込んだ電子や陽子は磁力線にコイル状に運動(サイクロトン運動(またはジャイロ運動)、ローレンツ力)し

 ながら磁力線の収束する両磁極近くに向かう。磁力線の収束するところ(磁極付近)では電子や陽子は、磁場に沿って跳ね返り戻り(磁気ミラー

 現象(またはバウンス運動))磁極間を往復する。また、地球磁場の夜側から赤道面に飛び込んでくる陽子は、ローレンツ力が地球の中心に向か

 い、これが向心力となり東から西へ等速円運動を行う(ドリフト運動)。一方、地球磁場と陽子とは反対の電荷を持つ電子はこの反対の運動(西か

ら東へ)となる。(図-15)

  内帯と外帯には空間(スロット領域)があり、この成因については地球の磁場と重力の強さの関係によるものではないかと考えられているが、

 詳しくは分かっていない。





                          

                      
図-15 (図-6. 高温プラズマ粒子のドリフト 磁気圏対流edu.yamaguchi-u.ac.jp/~mis/www-page/.../bgt-08.pdfより、図一部借用)


   
図-15は北極上空から俯瞰した図で、太陽は図の向かって左にあり、地球が小さく円でしるされている。太陽側が半円昼で白く(向かって左半分)、半円夜で黒く(向かって

  右半分)示されている。太陽風が左から右に吹き付けて地球の磁気圏が放物状に歪んで描かれている。




  太陽風や宇宙線からの粒子が地球の磁場に捕らわれて形成されると考えられている。電子は太陽が起源、陽子は宇宙線が起源とされている。

 地磁気の磁力線沿いに南北に運動しており、北極や南極では磁力線の出入り口であるため粒子も大気中に入ってきて、これが大気と相互作用を引

 き起こすことによってオーロラが発生する。オーロラはバンアレン帯の粒子が原因であるため太陽活動が盛んなときは極地方以外でも観測されること

 がある。地球以外にも磁場を持つ惑星である木星、土星で存在が確認されている。
 

  余計な記述:人類史上初めて1969年7月20日アポロ11号が月面着陸したが、アポロが地球を脱出し月に向かう際バンアレン帯を通過しなければ

 ならない。そのさい宇宙飛行士は相当量の放射線を浴び、最悪の場合死に至るため、アポロ11号は月には行っていなかった・・。アポロ11号があた

 かも月へ行って来たかのように、NASAがねつ造したということがまことしやかに伝えられたことがあった。


  ウィキペディアによれば、「2009年7月 アメリカ航空宇宙局(NASA)は月探査機「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」によって撮影されたア

 ポロ11号、14号、15号、16号、17号の5つの着陸地点の画像を公開した。月着陸船とその影が鮮明に写っているほか、特に撮影のタイミングの良

 かったアポロ14号の 着陸地点では、月面に置かれた科学装置や宇宙飛行士の足跡と推測される画像も捉えられている。」という。





            6 太陽のスペクトル


  先に太陽がどのようにして「燃えさかり」、「輝いている」のか、木か?、石炭か?木炭か?水素か?先人が様々に考えてきた経緯を紹介

 した。


  地球であればあちこちからサンプルを採取して分析すれば、地球がどのような元素から成り立つか容易にわかる。しかし、太陽からサン

 プリングなど不可能である。

  そこで太陽のスペクトルを調べることで、太陽がどのような元素を持っているのかが分かる-という仕組みになる。


     
  

   当HP「4 地震」図-12 で地震波P波の屈折について説明している。光の屈折についても同様に説明できる。

                          

                            図-16(お断り:図-16~図-22までの「入射角・屈折角の関係」は正確な
                    
                            表現になってはいません)

   図-16は「白い車」を「白色光」に見立て、空気から水(またはガラス)に斜め「白い車」が通過しようとする様子を模式的に表している。

  「白い車」(光)が空気と水(またはガラス)の境界にさしかかると、「白い車」の右前輪が左前輪より先に水(またはガラス)に入りブレーキ

 がかかった状態になる。

  イメージとしては、例えば舗装道路(空気)から砂利道(水またはガラス)に車が進入したような状態である。
 

  そうすると砂利のため右前輪が進まないが、左前輪は舗装道路のためスムーズに進む。この結果、車はハンドルを右に切った状態になり、

 図-16のように光は黄色破線のように直進せず、屈折する。


 面倒な話になるが、波(山・谷)の伝播は途中途切れて伝わることがない。遅く来る波を待ち合わせすることから屈折という現象が起こる。

 
    

  様々な波長の光の混じった太陽光線(白色光)は、真空中や大気中(希薄、または何もないから)ではおよそ3.0✕10km/sで一定である。

 しかし様々な物質(水、ガラスなど)(の原子によって光の通過が妨害され)を、単色(単一の色、一色)光が透過する際は、光の速度は異なる。

 「水、ガラスなどの中では、短波長の光は長波長の光より速度が遅い」

 すなわち、紫のように波長の短い光は、赤のように波長の長い光より速度が遅い-ということである。

 電磁波の速度(例えば光)=波長✕振動数 の関係があり、この関係から、紫の光の振動数は、赤の光の振動数より大きく(高い、多く)波長

は短いことになる。振動数が大きく波長の短い光ほど、水の分子やガラスを構成する原子によって通過の際、障害を受けることとなる。

 そのため紫のように波長の短い光は、赤のように波長の長い光より速度が遅くなる。


  たとえば、海岸に杭が立っていて、小さい波は影響を受けるが、大波は杭を何ら影響を受けないで押し寄せる-と理解してもいい。

  その結果、紫色光(水、ガラスなどの中で、赤より相対的に速度が遅い紫色光)が図-16のように空気から水(またはガラス)に斜め入射すると

 図-17に示されるような屈折が起こる。

 
                                    

                            図-17
    
                                図-17 「紫車」が水、ガラスなどに突入した瞬間大きく右前輪はブ

                                レーキがかかった状態になり速度は大きくダウン。その結果、大きく

                                屈折する。

  
   いっぽう、「赤色光」は「紫色光」より振動数は小さく(低い・少ない)波長は長いため、分子・原子の妨害を比較的受けずに進むことができる。

 その結果、「紫色光」より屈折はしない。(図-18)


   「赤色光」と「紫色光」の二つの光を同時に同じ角度で斜めに入射させると、図-19のようになる。太陽の光がプリズムによって七色に分けられ

 る仕組みが理解されると思う。

  
      


  図-18                                         図-19

  図-17に示されたように、「紫の色」ほど大きく屈折していない。

  図-17と図-18を合わせると図-19になる。空気中では「赤色光」・「紫色光」ともに足並みをそろえて進められるが、斜めにガラス

 や水に侵入するとそれぞれの振動数・波長の関係から屈折率(屈折の曲がりの違い)が異なり、足並みがそろわなくなる。



  

   

  では、ガラスから光が出る時、屈折は同じような説明にあっているのだろうか?下のプリズムを見てほしい。

  
                          
                                                    図-20

  
  図-20に示されるように、ナルホドあっています。ここで蛇足ながら、プリズムを上下接着したのが凸レンズになるよね。(図-21)

  上下を反対にすると凹レンズになるね~。

  
                             

                                                    図-21
                             
                                  図-21で、光のレンズの行路はお絵かきソフトの関係で不正確です。


     


   ところで日光の一部を取り込んでプリズムに入射させると図-22のように、「赤-橙-黄-緑-青-藍-紫」の七色に分かれ、この現象を

  
「光の分散」、七色の光の帯(光を波長の順に並べた帯)を「スペクトル」という。

   これはニュートンが初めて白色光をプリズムに入射させ、七色の光の帯に分かれることを示した。そして、太陽光など白色光は様々な光が混じ

  ってできた光であり、これを
「連続スペクトル」という。


                             

                                                図-22


   黒体・黒体放射 

  
 
   
   


  














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