No.2 地磁気

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地磁気:地球に存在する磁場

地磁気の単元でわかりにくいところと言えば,


① 偏角の補正
② 三角関数を用いて全磁力,水平分力等求める問題,付随して
③ ある地点で水平となるよう調整した磁針を,別の場所へ移動させた時、伏角がどのように変化するかを問う問題-などではない でしょうか。

★1 地磁気の五つの要素

 

 ある地点での地磁気の様子は,次の五つの要素で表現されます。要素の定義は教科書を参照してください。ここでは,理解のためやや不正確で適切ではない表現があるかもしれません。「こういうことなんだ」と納得してもらいたいのです。


 地磁気の五つの要素

要 素 説 明
全磁力 その地点での地磁気の大きさ
鉛直(垂直)分力 その地点での「磁針のN極を垂直方向に引く力」
水平分力 その地点での「磁針のN極を水平方向に引く力」
伏角 水平方向と磁針のN極の指す方向とのなす角
偏角 真北の方向と磁針のN極の指す方向とのなす角

 

「地磁気とは何か」畠山唯達氏 milsil No.5 2014 vol.7 p.8 図3 の一部 独立行政法人 国立科学博物館

 地磁気の様子

 青・赤の曲線は磁力線。磁力線はN極からS極に向かうよう矢印を描く約束になっています。地球の南極付近には地磁気のN極が、地球の北極付近には地磁気のS極があるので、図では磁力線の矢印は、地球の南極付近を下向きに出て、やがて上向きに変わり、地球の北極付近で再び下向きに戻って収束します。

偏角・伏角が取り上げられたいきさつ

 磁気学は1500年代後半、イギリスのWilliam Gilbertがその先駆者となり、ガリレオ・ガリレイは彼の研究を賞賛している。偏角・伏角の存在については、鉱山技師、航海士により取り上げられていました。
 コロンブスは大西洋において、偏角11度Wを記録したといわれています。伏角は羅針盤を作る際に、磁針が水平にならないことが問題となったそうです。Gilbertは地球は大きな磁石ではないかと仮設をたてて偏角・伏角について説明を行いました。

 

 目盛版の直径が70cmほどの巨大な伏角計。写真は少し暗くて見えにくいですが、全国の伏角のデータが右に、偏角のデータが左の地図に示されています。

 磁針の矢印が向かって左下に傾いていますが、バランスを崩したものではありません。左右均等に作られた磁針の針が地磁気のS極に引かれ、左下をむいているのです。

 東京上野 国立科学博物館

★2 地磁気の三要素

 

 ある地点での地磁気の5つの要素のうち,3つの要素の値が分かれば,残りの2つの要素も(計算を行うことによって)知りえます。このときの3つの要素を「地磁気の3要素」といいます。「地磁気の3要素」の中には,必ず「偏角」が含まれなければなりません。

 偏角は測定だけによって得られる値で計算や作図で求められません。

 鉛直分力・ 水平分力は,全磁力を水平方向から伏角に相当する角度で分解した力で,同一平面上にありますが,偏角はその中に含まれません。下の図を見てください。ほかの要素から偏角は計算によって求められません。

★3 偏角の補正

  

 地球を仮に円盤状と考え,A地点,B地点で磁針を振らせたとします。磁針のN極は「偶然」それぞれの向きを指したのではありません。地理上の北極の近くにある「北磁極」-S極に引き寄せられたから,それぞれの向きをさして止まっているのです。図を見て考えましょう。


 (1) A地点では

 A地点では,真北の方向と,磁針のN極の指す方向は一致しています。(偏角が0°)ですから,A地点から磁針を頼りに北極を目指せば,北極点に到達できるでしょう。ところが,

 (2)B地点では

 B地点では,真北の方向と, 磁針のN極の指す方向は一致していません。 真北の方向と磁針のN極の指す方向とのなす角を10°としましょう。 磁針のN極は真北の方向から10°東にそれていますから,この場合「B地点での偏角は10°E」といいます。 B地点から,磁針を頼りに北極を目指せば,北極点に到達できません。
 ですから北極点に到達するためには,偏角の補正が必要になります。

★4 偏角補正の例題

 

 Q 偏角6°Wのところで,A山の方位を磁針で測定したところ,磁北から30°Wであった。A山の真北からの方位を求めなさい。


① まず、真北の方向
を示す矢印を書きます
② 次に、「偏角6°W」ですから、
真北の方向から6°西にそらして磁
針の絵を描きます
③ 「磁北から30°W」ですから、
磁針のN極から西へ30°の方向に
矢印とA山を描きます
④「A山の真北からの方位」を「真北-磁針の中心(観測者)-A山」のなす角を求めれば良いことになります。
答えは,真北から「36°W」となります
   

★5 鉛直分力などを求める例題

 

 Q A地点での全磁力が0.2ガウス,伏角30°である。鉛直分力を求めなさい。

 前の例題のように、とにかく図を描くことが大切です。図を描くことによって題意が明らかになり、解答へ導かれることが多いのです。

① 鉛直分力はいくらか。
 sin30°=鉛直分力/0.2ガウス
=0.2ガウス・1/2=0.1ガウス
② ①では、「磁針のN極の先端に下向きに0.1ガウスの力が働いたので水平から30°だけ下を向いた」と考えます。したがって、磁針の反対側のS極の先端に0.1ガウス分のおもりを付けると、磁針は水平になります。
③ ②で水平になるように調整した磁針を、全磁力が0.2ガウス、伏角が40°のB地点振らせたとします。B地点では磁針のN極は上下どちらを向くのでしょうか。  4つの地磁気の要素をA地点については青、B地点については赤で「重ね書き」をします。
「日本付近の偏角4°W~10°W伏角40°N~60°N」の値は押さえておきましょう。  A地点で磁針のN極の先端に下向きに0.1ガウスの力が働いた時、水平になるように調整しました。B地点では鉛直分力=0.1ガウスより大きい力が働きます。(B地点での鉛直分力=0.2ガウス・sin40°>A地点での鉛直分力=0.2ガウス・sin40°) 従って「A地点で水平になるように調整した磁針のN極は,B地点では下を向く」ことになります。

 

erode(erosion(n))、race/nation、house/residence、horizontal(vertical)、element、converge(convergence(n))、 study、praise/admire、the Atlantic Ocean、compass、magnetism,comprehend、adjust(adjustment)、function、 in addition to~、move(transfer)、confer,suitable for(to)、expression、by accident(accidentally)、

correspond with(to) ~、observer、opposite side 、arrive at~