No.21 高気圧と低気圧



 等圧線は等しい気圧をなめらかに結んだ曲線です。地図の等高線と同じで、値(hPa)の大きい等圧線は気圧が高いことになります。

 「高気圧」は同じ高さの面で比べたとき、周囲より相対的に気圧の高い領域であり、地形図の山と同じように閉じた等圧線で囲まれた気圧の高い領域-といえます。

 「低気圧」はその反対となります。

 高気圧域内での風の吹き方は、以下のように概略的に示されます。水が高所から低所に流れるように、空気も気圧の高いところから低いところに向かって流れます。
 
 高気圧の中心からは風が吹き出し、低気圧の中心には風が吹き込むこととなります。この空気の動きは数千kmにもなるため、転向力の影響を受けることとなり、等圧線に直角に風が吹くようにはなりません。

 等圧線と風の吹く方向のなす角を「傾角」といって、陸上では約35度、海上では約20度になります。これは地形による摩擦の大きさの関係によるからです。

 

 高気圧と低気圧 図-1

 高気圧と低気圧 図-2

 理解としてのイメージは、中心(の気圧)が1004hPaと凹み、周囲(の気圧)の高さが1016hPaのボウル(巨大なお椀)があって、ボウルの縁から水を注ぐと考えてください。
(高気圧と低気圧 図-2)。

 この場合も、水はボウルの低い中心に直線的に向かいません。転向力を受け、右にそれるため、低気圧の中心に向かって左回り(反時計回り)に水が集まります-風が吹くことになります。集合した風=空気は、低気圧中心で上昇気流となるため、水蒸気が凝結して雲が形成されそして雨が降ることとなります。

 

 


 なかなか理解しづらい単元です。

 高気圧と低気圧 図-3のように寒気、暖気の積み重なりによる大気があり、地表ではいずれも1000hPaであったとします。1000hPaという気圧は、立方体状の大気の積み重なりの結果と考えて良いわけです。
 ところで、寒気は密度が大きく(重く)、暖気は密度が小さい(軽い)ですね。

 そこで理解のため、仮に、1単位立方体あたりの寒気の気圧を1.5hPa、同様に暖気を1hPaとして考えましょう。 

 h m 上空での寒気・暖気の気圧はどうなるかというと、この場合h m 上空では

4単位立方体分の気圧が失われるから、以下の計算となる。

寒気の場合は、1000hPa-1.5hPa✕4単位立方体=994hPa

暖気の場合は、1000hPa-1hPa✕4単位立方体=996hPa

地表ではいずれも1000hPaで気圧は等しくても、

寒気=994hPa<暖気=996hPa となります。


 つまり「寒気は上空に行くほど、気圧の減り方が大きい」


と言うことになります。
 
 高気圧、低気圧は寒気のみ、暖気のみからなるばかりではありません。中心が暖気で周囲が寒気、中心が寒気で周囲が暖気の高気圧・低気圧があり、暖気・寒気の違いによる気圧の減少の違いから高気圧と低気圧の「背」の高さの問題が生じてきます。

 

 高気圧と低気圧 図-3

 


 高気圧の中央が(相対的に)「暖気」で周囲が「寒気」である場合を、「高気圧と低気圧 図-3」にならって考えましょう。

 この場合も、考えのために1単位立方体あたりの寒気の気圧を1.5hPa、同様に暖気を1hPaとし、 hm 上空での気圧を比較します。

 h m 上空では

 寒気の場合は、988hPa-1.5hPa✕8単位立方体=976hPa

 暖気の場合は、1000hPa-1hPa✕8単位立方体=992hPa

 となり、地表で  寒気=988hPa VS 暖気=1000hPa 、その差12hPa から

hm上空で 寒気=976hPa VS 暖気=992hPa その差16hPa へ 高さが高くなるにつれ、気圧差が拡大していることが分かります。

 つまり、「温暖高気圧」の場合、高気圧がより「高気圧らしさを強めている」といえます。

 これをもって、「背の高い高気圧」と言い換えることとします。

 高気圧と低気圧 図-4

 ハドレー循環(「No.19 大気の構造」 (1)「ハドレー循環(George Hadley 1735年)」=赤道~低緯度(30度)での大気の循環)によってエネルギーと共に大気がN30度付近にもたらされ、亜熱帯高圧帯が形成されることを先に学んでいました。   N30度付近は、赤道地域に比較すれば相対的に「寒冷」な場所ですから、亜熱帯高圧帯の気流収束帯は「寒冷」な地域に、「暖気」(冷えて下降してもなお)が下降気流となり高気圧が形成されることになります。つまり、周りは相対的に寒冷で、中心は温暖な高気圧=「温暖高気圧」が形成されることになります。

 「① 暖気・寒気の違いによる気圧の減少の違い」(高気圧と低気圧図-3)ですでに学んだように、上空に行くほど「寒気は気圧減少が大きく、暖気は小さい」。

 「温暖高気圧」の周囲は「寒冷」、上空ほど気圧の減少が大きくなる。一方、「温暖高気圧」の中央部分は「温暖」、高圧を維持します。それゆえ、温暖高気圧では上空に行けば行くほど、高気圧の性質を強めることとなります。つまり、「温暖高気圧は背の高い高気圧」、高層天気図上にも高気圧として現れることとなります。

 温暖高気圧として、夏に日本付近に勢力を張り出す「太平洋高気圧(小笠原高気圧)」がこれに属します。(高気圧と低気圧 図-5)

 高気圧と低気圧 図-5

 

 

 ここまで来れば大体理解が進んだことでしょう。「高気圧と低気圧 図-6」を参照してください。高気圧の中央が(相対的に)「寒気」で周囲が「暖気」である場合、地表では高気圧の中心-気圧が高かったのが、「寒気」のために気圧減少の割合が周囲(暖気)より大きく、上空に至って低気圧となってしまっています。高気圧としての性質は高空まで維持できていないので、「背の低い高気圧」とよばれます。

 寒冷高気圧は冬期、大地に接触した大気が冷却され密度を増して形成されるもので、その代表例は冬将軍「シベリア高気圧」です。

 高気圧と低気圧 図-6

 

 これまで学んできた「背の高さ」の断面について模式的にまとめれば、次のように示されます。(高気圧と低気圧 図-7)

 高気圧と低気圧 図-7



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