No.6 鉱物

1 鉱物は3500種! 


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 地球上には3500種の鉱物が存在すると言われています。「安心してください。しかし、高等学校地学で取り上げられる鉱物は20種(3500種の0.6%)を越えません。」比較するのはナンセンスですが、東大・京大の二次の英語に備えるには6000語の英単語をクリアしていなければならないといわれます。受験生は大変です。

 さて,鉱物とは一体なんでしょう。教科書(数研出版)によれば鉱物は「一般に固体で、構成原子(イオン)が規則正しく配列して、結晶を作っている」と説明しています。鉱物の説明に「結晶」と言う言葉が出てきました。鉱物、結晶についてミクロの世界に飛び込んで勉強しましょう。

 

 物質は原子、イオンの集合であることはよろしいでしょう。物質の内部で原子、イオンの集合の仕方は2とおり考えられます。すなわち、
 ①不規則で乱雑な配列なのか、

 ②規則的な配列なのか

  の2とおりです。

 たとえば、高校の昼休み時間、生徒のみなさんは席を移動して仲良しグループごとに昼食をとっています。決まった席に整然と座っていない「不規則で乱雑」な配列です。
 一方、授業中は座席が決まっていて、決まった席に生徒のみなさんは座っています。つまり、「規則的」な配列です。前者の状態を「非晶質」(結晶に非ざる物質)、後者を「結晶」と理解しましょう。

 

 

 さて、ガラスは「非晶質」、「結晶」のどちらでしょう?実は「非晶質」です。ガラスの内部ではSi(ケイ素)、Na(ナトリウム)、Ca(カルシウム)、B(ホウ素)、O(酸素)の原子が「不規則で乱雑」な配列をしていて結晶ではありません。
 「結晶」は英語でクリスタル(crystal ギリシャ語の"Krustallus"(氷、透き通る水))といいます。
「クリスタルグラス」という言葉を聞いたことはありませんか?「結晶質的非晶質」。相反する意味を持つ言葉を1つに合体し、新しい言葉=物質名としているわけです。
 「プラス的マイナス(あるいはその反対)」,「黒字的赤字(あるいはその反対)」・・・。頭が混乱しますね。

2 SiO4四面体 


 地球を構成する物質のページで、地球をならしたときの地殻の化学組成の多い順にO、Si、Al・・・・であることを学びました。
地殻を構成する化学組成にO、Siが多いのは、岩石を構成する多くの鉱物がその内部にO、Siを含んでいるためです。このような酸素、ケイ素を含む鉱物を「ケイ酸塩鉱物」として分類します。
 そしてO、Siは鉱物の内部でお互いに無関係に存在するのではなく、Siが1個に対してOが4個結びついた「SiO 四面体」として鉱物の基本骨格となっていることが分かりました。

 

3 SiO四面体単独型の鉱物 かんらん石 

 

 「SiO四面体」を基本とし「SiO四面体」が様々なつながりをしながら沢山の種類の鉱物が形成されます。
もっとも単純なつながり形をした「SiO四面体」の鉱物は「カンラン石」です。「単独型」と呼ばれています。
「SiO四面体」を真上から見ると下の図になります。

 

 

 ところで、「SiO四面体」をイオンカードで表すと、「SiO4-ですから、4つの「谷(下の図,赤の印)」を持つことになります。
 一方、マグネシウムイオンは2価の陽イオンですから、Mgイオン1個をイオンカードで表すと、2つの「山(下の図,黄の印)」をもつイオンカードになります。
 物質が出来るには、プラス、マイナス過不足なく結合すれば良いので、下の図のように1枚の「SiO4-カードには、2枚のMg2+カードがぴったり結合します。
 このようにして、マグネシウムカンラン石 MgSiOが出来ることになります。

 

 

 マグネシウムイオンと鉄イオンは、電荷が同じでイオンの大きさもほぼ等しいので、お互いに任意の割合で取って代わることが出来ます。

 

4 固溶体 こようたい solid solution 

 

 固溶体も、solid solutionも考えてみれば面白い言葉ですね。固体で液体ですよ!それはさておき、2種類以上の鉱物が、あたかも液体の混合のように均質に混じり合って出来ている鉱物を固溶体といいます。ほとんどどの鉱物は固溶体です。
 もちろん、固溶体ではない鉱物もあります。石英(SiO)、ダイヤモンド(C)、多形(同質異像(後述))の藍晶石-珪線石-紅柱石(AlSiO)は固溶体ではありません。

 

 

 カンラン石の内部では、下図の水色の○の位置をMg2+、Fe2+イオンが占めて様々な組成を持つカンラン石が形成されます

 

 

 

 巨晶水晶(石英)(ペグマタイト鉱物)

 マグマの結晶分化作用の進行に伴い、マグマはSiO2成分に rich になるとともに水蒸気、二酸化炭素、硫化水素などガス物質も富むようになります。ガス部質は失われ、徐冷されながら石英、斜長石、雲母などが大きい結晶として形成されたものがペグマタイト鉱物といわれ。これには、ウラン、トリウムなど放射性元素を伴う場合があります。
 
 写真は紫水晶の巨晶。全体が621kg。写真に向かって左下にハンマーが逆さに立てかけられてあります。

 柄の長さは約40cm程度。いかに単結晶の水晶の大きさが大きいかが分かると思います。
産地はスイスのTiefengletscher.Uri.1868年。スイスのMuseum De Geneve で購入の絵はがきによります

5 モースの硬度計(鉱物の硬度) 

 

 ドイツの鉱物学者モース(Mohs 1812年)が、相対的な鉱物の硬さとして提案した10種類の鉱物がモースの硬度計になります。
 ヒトの指の爪の硬度は2~3、ガラスは5~6、ナイフは6。最近では見ることが出来なくなった「ガラスカッター」。この先端にはダイヤモンド(天然?人工?)が埋め込まれていて、ガラスに傷を付け、「切る」というより「割る」ことにより窓枠に板ガラスをはめ込んでいたのです。

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