ガリレイの黒点のスケッチ 図-1 伊藤和行(2013) ガリレオ 中公新書より転載しました
プトレマイオスのレリーフ画(葛飾区 郷土と天文の博物館) | ガリレイのレリーフ画(葛飾区 郷土と天文の博物館) | ガリレオ・ガリレイ 伊藤和行(2013)ガリレオ 中公新書 |
プトレマイオス(AD 90年~170年頃、古代ローマの数学・天文学者)は太陽までの距離測定を試みて、地球半径の1200倍と見積もったといます。(cf.「No.1 地球の大きさを測る」)
太陽についての研究は、ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)が自ら望遠鏡を作り(これには諸説があります(後述))天空を観察することによって飛躍的に発展したと行っていいでしょう。
望遠鏡に必要な「レンズ」について古代アッシリアには知られていました。ギリシア~ローマ時代においてはガラス球に水を入れ、太陽光線を集めて火を起こしたと言われています。
1609年ガリレイは凸レンズと凹レンズを組み合わせて望遠鏡を作り、月のクレーターの発見、木星の衛星と衛星の公転、太陽の黒点と太陽の自転について言及しています。
しかし当時、彼の発見については、望遠鏡の不具合が原因とする観察結果であるとする見解が述べられたり、なかなか賛同を得られませんでした。
「地上界」は土・水・空気・火よりなり、また変化し、有限であり、不完全の物であるが、「天上界」」はエーテルからなり不変、無限、完全という「哲学」観がありました(アリストテレスの自然観)。
例えば月は天上界にあるのだから真円で「クレーター(のような凹凸)などあってはならない」、したがってガリレイの観察したクレーターはあり得ない-というのです。
太陽の黒点に関しても同じ論理でした。黒点に関しては、存在を認めても太陽表面にはなく、太陽からある距離だけ離れた球面があり、そこに黒点がついているというわけです。
ガリレイは極めて根気強く、実証的に自説を主張しました。ガリレイ反対派は「哲学」ではガリレイの主張を説き伏せることはできない-と危機感を持ち、「神学」論に持ち込んだのでした。
すなわちガリレイの主張は旧約聖書の記述にそぐわないとし、彼は「異端審問」に問われ有罪判決を受けたわけです。
望遠鏡の作成について、1608年、ガリレイより1年早くオランダのハンス・リッペルスハイという説。年代不詳ながらヤンセン、またはメチウスではないかとの諸説があります。
もっとも地球に近い恒星でも4.29光年 で非常に遠く、地球に近い恒星の一つで ある太陽を調べることは恒星や銀河、宇 宙を解明する一歩になるわけです。 しかし、次に示されるように太陽表面 は高温で容易に近づいて調べることはで きません。 |
図-2
地球は太陽の引力と遠心力と釣り合い公転しています。したがって
π=3.14、T=365×102(日)×2.4×10(時間)×3.6×103秒=3.154×107秒
太陽の質量 2✕1030kg
地球の密度を5.50g/cm3、太陽の半径を地球の109倍、質量を33.3万倍(3.33×105倍)とする。
太陽の密度を有効数字3桁で求めよ。
【解答】
答え 1.40g/cm3
「太陽の燃料探し」の考え方はそれほど難しくはありません。
太陽の質量が上の計算で出ています。
一方、HP「No.17太陽からのエネルギー供給、熱収支」で太陽定数について学習し、「太陽放射全エネルギー量(1秒あたり)=半径1.5億km(✕1000m)で作った球の面積(m2)✕太陽定数(1.366✕103W/m2 )」を計算しました。言いかえれば、太陽放射全エネルギー量とは「太陽のエネルギー消費量」のことになります。地球上の様々な物質1kgあたりの燃焼発熱量が分かっているわけですから、上で計算された太陽の質量(1.989✕1030kg)に物質1kgあたりの燃焼発熱量を掛け、太陽放射全エネルギー量(=太陽のエネルギー消費量)(1秒あたり)で割れば太陽の輝ける時間が計算できます。
そこで石炭ではないか?木炭ではないか?水素ではないか?計算されました。
19C半ば地球の年齢は数億年と推定されており(チャールズ ライエル(Charles Lyell)「地質学原理」(1830~1833))、これらの物質から計算された太陽の輝ける時間≒年齢は、地球より極めて若い値となって(マイヤー(1848))、兄(太陽)が弟(地球)より年下という矛盾を生じてしまいました。
ところで、ライエルの「地質学原理」には「斉一論」が述べられています。
簡単に言えば「現在見られるゆるやかな変化は、過去においても同じように(斉しく)ゆるやかなものであっただろう」。つまり、地形的な変化はごくごくゆるやかに進み、長い時間をかけて変化してきたものであろう-という考えかたです。
例えば、川の中・下流、あるいは河口で砂や泥が堆積しますが、その速度は極めて遅いわけです。そしてそれらが堆積し砂層、泥層あるいは砂岩層・泥岩層となっていきます。そして地球の内的営力によって陸にになって目の前に現れます。そのようになるのに非常に長い時間がかかると、考えるわけです。
もちろん突発的な火山爆発・溶岩の流出・火山弾、火山灰の放出、大地震による津波などはあることは否定できません。
しかし、ライエルの「斉一論」は「現在は過去を知る鍵である」として過去の地質時代が調べられるきっかけになり、またダーウインの進化論に大きく影響を与えました。
なお、アッシャー大主教はBC4004年(月日時刻まで発表しています)に地球が創造されたとし、またフランスのビュフォン(1778)は地球の年齢を7万5千年と見積もっています。
原子核融合エネルギーとは、水素のように軽い原子核同士が衝突し、別の種類の重い原子核に変換される時発生するエネルギー。
太陽の中心付近では次のような原子核融合が行われています(らしいです)。
4H+ →He+2ニュートリノ+2陽電子+エネルギー
2陽電子+2電子→γ線
例えばこの反応で1kgの4H+ から0.9929kgのHeが生成され、7.1✕10-3 kgの質量欠損が生じます。
アインシュタインは質量とエネルギーは等価であるとして、
E=mC2
(E=エネルギー(J)、m=欠損質量(kg)、C=3.00✕108m/s(光の速さ))
以上の式を提案しました。
これによれば、1kgの4H+ からE=7.1✕10-3 ×(3.00✕108)2 =6.39✕1014 J という膨大なエネルギーが生み出されます。
ニュートリノ:太陽から放射される謎の粒子。質量不明、人体をも透過し蛍光・電離作用があります。岐阜県の旧神岡鉱山跡に「スーパーカミオカンデ」を 設置し、ニュートリノを観測しノーベル賞を受賞した(2002年)のが小柴昌俊先生(東大名誉教授)。
また太陽の中心で作られた光は、太陽の表面(光球)に出て来るまで数百年から十万年かかりますが、太陽の中心で同時に作られたニュートリノは光速で宇宙空間に飛び出します。
したがって、ニュートリノを観測することは「現在の太陽の核で起きていること」を知ることができると同時に、数百年から十万年後の太陽からどのような「光・エネルギー」がやってくるか知ることができることになります。(ペンシルベニア大、デービス Raymond
Davis 2002年ノーベル賞受賞)
図-4
光電子増倍管
「スーパーカミオカンデ」には超純水が満たされており、ニュートリノが飛び込んできて水の電子に衝突するときわめて弱い光を発生します。それを数十万倍から百万倍に増幅し検出する装置が光電子増倍管です。
「スーパーカミオカンデ」には光電子増倍管が1000本設置されており1987年ニュートリノの到達を観測しました。(写真は上野・国立科学博物館で撮影)
太陽の表面温度を求めるには様々な方法があります。
はじめにウィーンの変位則を用いて測定する方法で恒星の表面温度を推定するのにも用います(恒星の世界で説明の予定)。
物体はその温度に応じてその表面から電磁波を放出しています(ウィーン(1893))。彼は、物体の表面温度(絶対温度(T))ともっとも強く放出される電磁波の波長(λm)は反比例の関係にあることを発見しました。すなわち
λm・T=C(constant=一定)、Cの値は2.89✕103μm・K という関係です。
太陽からもっとも強く放射される電磁波の波長が、λm=4.75✕10-1 μm と測定されました。そうすると、
1.75✕10-1 μm・T=2.89✕103μm・K より、T=6.08✕103K と太陽の表面温度が算出されます。
太陽の表面温度は6080K(絶対温度)
次に太陽の表面温度を求める方法に、太陽定数とシュテファン・ボルツマンの式(恒星の世界で説明の予定)を用いる方法があります。
シュテファン・ボルツマンの式は「ある温度の物体の表面の単位面積(1m2)・単位時間(1sec)あたり発するエネルギー(E)は、温度(T)の4乗に比例する」という。比例定数をσ(シグマ)=5.67✕10-8W/m2・Kとすると、E=σ・T4で示されます。
図-5
太陽の表面温度をT(K(絶対温度))とすると、シュテファン・ボルツマンの式、球の表面の公式を用いると、太陽の表面から宇宙空間に向かって毎秒4πR太4 ・σ・T4のエネルギーが放出されています。
このエネルギーが宇宙空間を通過する時、減衰することなく地球の大気の上面に達した時、1.37✕103 W/m2 、太陽定数(S)となっています。
さらに、このエネルギーは、半径R太~地で描いた球面の1m2 にあまねく分配されています(HP「No.17 太陽からのエネルギー供給、熱収支」)。
このようなことから、エネルギーの釣り合いについて、太陽側(エネルギー放出側)と地球側(エネルギー受け取り側)に分けて考えると
太陽側(エネルギー放出側)4πR太4 ・σ・T4 -①
地球側(エネルギー受け取り側 4πR太~地4 ・S-②
①=②ですから、 4πR太4 ・σ・T4=4πR太~地4 ・S 、
R太4 ・σ・T4 =R太~地4 ・S 、
上の式を③式として、R太~地=1.496✕1011m、 R太=6.96✕108m、S=1.37✕103 K・W/m2 、
σ=5.677✕10-8 W/m2 ・K を代入、計算すると、T=5.73✕103K の値が得られます。
太陽の表面温度は5730度(絶対温度) ウィーンの変位則を用いて得られた6080Kにまずまず近い値で出てきます。
図-6
太陽の構造
① 核
半径10万km、中心温度1600万K、密度160g/cm3、2500億atm、毎秒50億kgの水素の核融合が行われています。核と放射層 の境付近で900万Kと見積もられています。
② 放射層
核を包む厚さ40万kmの層、中心部で作られた核エネルギーが「熱放射」の形で外部に向かって伝えられる部分。光は放射層、対 流層を抜け出るのに数百年から十万年かかると言われています。放射層と対流層との境付近で200万K。
③ 対流層
太陽の表面から深さ20万kmまでの部分。プラズマ(水素原子が高温のため分解し、陽子と電子に電離した気体)が対流し光球( 普段われわれが太陽と呼んでいる部分)にエネルギーを運搬。
④ 光球
太陽として丸く見える部分。厚さ400kmほどの球殻状のガス層。表面温度は6000K
光球面に見られる諸構造
(1)粒状斑:光球全体に見られる米粒状の模様。対流層のプラズマの最上昇部で10分程度で更新されます。
(2)黒点:強い磁場のために熱上昇が妨げられ周囲の温度より低く(4000K)黒く見えます。11年周期で活発化します。太陽の 表面、緯度にして低緯度(±35°)に集中して出現します。
黒点の観測はガリレイが有名ですが、紀元前、中国の文献に記述があるということです。
1994.3. 6cm 屈折望遠鏡で撮影
図-7 不明瞭ながら黒点が見えます。(それこそレンズのの汚れかも・・・。)
(3)白斑:黒点の周囲に点在。黒点の存在で押さえられていたエネルギーが上昇、温度が6400Kとやや高くなります。 白斑の現 れる一帯を「太陽の活動領域」
太陽の黒点は1611年から数えられ始め、継続的な黒点観測は1700年頃から行われています。黒点は10年から12年、平均で11年周期で増減を繰り返すことが分かっています。
太陽活動極大期:
黒点の多い(前後1、2年の)時期で、コロナは球形に広がって観測されます。1100年頃~1250年頃のグランド極大期があったとされています。
図9-1(NHKサイエンススペシャル 銀河宇宙オデッセイ1 1990年より借用)
図9-1上の図:縦軸は太陽の相対黒点数、横軸は左端が1150年、次が1200年、百年ごと。上方1100年~1250年の期間に「グランド極大期」、1450年~1550年の期間に「シュペーラー極小期」、1650年~1750年の期間に「マウンダー極小期」の説明。
図9-1下の図:縦軸は炭素14生成率(%)で図の上端が-20%、下端が+20%、横軸は図9-1上の図の同様。炭素14は窒素が宇宙線によって変化し形成してたもので、地球磁場が弱ければそれだけ宇宙線が進入しやすくなり、炭素14が増加することになります。
「シュペーラー極小期」、「マウンダー極小期」には炭素14が増加しており、太陽活動が低調であったことと一致しています。
太陽活動極小期:
黒点の少ない(前後1、2年の)時期で、コロナは太陽の赤道方向に伸びた扁平な形態をとっています。
日本では長野県諏訪湖八剣(やつるぎ)神社に1397年以来、気候・地震、農作物の作柄について記録が残されていて、1600年後半の小氷河期(マウンダー極小期)に係る記録が残っていた-と言われています。
それによると、「その頃の諏訪湖の結氷が早い年もあり、一方では結氷しない年は一回しかなかった」-つまりきわめて寒冷な数十年間であったことが記載されていたというのです。(NHKサイエンススペシャル 銀河宇宙オデッセイ 1
1990年)
この現象は日本に限らず、太陽活動を原因とする全世界的な気候変動で「マウンダー極小期」(1650年頃~1715年頃)と呼ばれています。黒点はほとんど出現せず、オーロラの発生頻度が低く、気候的には小氷河期で、テームズ川が28cmの厚さまで凍り、凍った川の上でフットボールをしたり理髪店が営業したりしたそうです。当然農作物は大不作であったわけです。
日本では「マウンダー極小期」(1650年頃~1715年頃)に時期的に一致する飢饉は、「寛永の大飢饉(1642~1643年)」、「延宝の飢饉(1674~1675年)」、「天和の飢饉(1682~1683年)」、「元禄の飢饉(1691~1695年)」になろうかと思います。
図9-2( 2012年milsil No.3 Vol.5 桜井 隆 氏「太陽~地球の生命を支える天体~」より借用)
図9-2上の図:
黒点の相対数の年変化 縦軸は黒点の相対数、横軸は再左端の数値が1930年、10年ごとにふられ最右端が2010年。およそ11年周期で黒点が増減して出現しているのが分かります。
図9-2下の図:
太陽の表面のどこに、いつ黒点が現れたのかをグラフ化したもの。縦軸は日面緯度(太陽を地球と同じように北極-赤道-南極とし、中央の横線は太陽の赤道で0°,目盛りは+20°、+40°、-20°-40°)。横軸は図9-2上の図と同様。
黒点の出現のするのは太陽の低緯度地域に限られていて、しかも出現する緯度と時期的な相関関係が見られることが分かります。
なお、図9-2下の図は蝶が羽を広げた形に見えるので「蝶形図」と呼ばれています。
⑤ 彩層
光球を包む厚さ2000kmほどのガス層。6000~10000Kで皆既日食の際、薄赤色にみえます。彩層内での爆発をフレアといいま す。
⑥コロナ
光球を包む希薄なガス(プラズマ状態、200万K)層。太陽の半径の10倍以上の広がりを持ちます。白色で普段は見えず、皆既日 食時に見ることが出来きます。コロナホールがありここから太陽風(プラズマの流れ)が流れ出ます。
⑦プロミネンス(紅炎)
彩層の一部がコロナ中に突出したもの。
図-8 田近英一(監修)惑星・太陽の大発見(新星出版社)より転載しました。
⑧フレア
フレアは1859年アマチュア天文家キャリント(英)が発見したと言われます。フレア(太陽面爆発)が起こるとプラズマ、X線 ・紫外線が宇宙に放出・拡散されます。このため地球上では次のような現象が発生します。
(1)プラズマによる
磁気嵐=地球の磁場に捉えられ、地磁気の一時的な異常
オーロラの発生=緯度にして65°以上の高緯度ではオーロラは日常的に発生しています。フレアが起こると、プラズマが地球の 熱圏の大気を刺激し発光(放電現象)させるため、オーロラが通常より頻繁に発生します。(オーロラ=ローマ神話の中の「曙
の女神の名前」)
俳句 「古池や 蛙(かわず)飛びこむ 水の音」(芭蕉) でオーロラの発光現象の説明を。
古池(=大気中の原子)に蛙(=荷電粒子)が飛び込みます。
それまで平静であった水面から水滴が跳ね上がるわけです(原子中の電子の励起状態=エネルギーを高く帯びた状態)。
しかし、いつまでも水滴(励起状態の電子)は空中に留まっていることはできないので池に落下します(もとの電子軌道の位置に戻る)。
この時、水が「ぽちゃん」やら「ぽとん」など音がすることになります。「音がする」のは「タダ」(no money)ではなく得たエネルギーを放出したからで、「水の音」に対応するのがオーロラということになります。
当然、蛙の飛び込む高さが変われば、音の強さは変わってきます。
オーロラの色は地球大気に侵入する荷電粒子のエネルギーの大きさと、大気中に存在する衝突される原子の種類(窒素、酸素)との関係で決まります。
地球からの高度が高ければ、荷電粒子のエネルギーは大きくなくても侵入しやすいのです。
またO原子がN原子より相対的に多く存在するため、荷電粒子はO原子の電子に衝突し、それほど大きくない励起状態に置きます。その結果、エネルギー的に低い赤色のオーロラが出現することになります。
一方地球からの高度の低いところには、エネルギーの大きい荷電粒子でなければ侵入できません。
またN原子が相対的多く存在しているため、荷電粒子は衝突してN原子の電子を一旦高い励起状態に置くことになります。その結果その結果、エネルギー的に高い赤紫色のオーロラを出現させることになります。(図-9,10))
荷電粒子が原子に衝突し電子を励起状態にする代わりに、原子を加熱し電子を励起状態にすることができます。
中学校の理科の実験で行った「炎色反応」も同じでNaは「黄色」、Kは「紫色」・・・。
(2)X線・紫外線による
短波通信障害を引き起こす
地球は巨大な磁石になっており、太陽風や宇宙線が地球に押し寄せて来て、地球を取り巻いてバンアレン帯が形成されています。
バンアレン(Van Allen(1958年 当時アイオワ大学))は、地球を360度、内帯と外帯と二層にドーナツ状にとりまく放射線帯を発見しました(バンアレン帯)。
形状は図-11(黄緑色の部分)のようになっていると言われて、内帯は赤道上およそ高度4000kmに位置する帯で、高速の陽子・電子が多く、外帯はおよそ20000kmに位置する大きな帯で高速の電子が多い。赤道付近が最も層が厚く、高緯度に向かって厚さが薄くなっています。
図-11 (JAXA'S No.67 January 2017 p.17より転用)
図-13の中央の球体が地球。これを取り巻く黄緑色の二つのドーナツ状(断面が示されている)の部分がバンアレン帯です。
太陽は向かって右側にあり、太陽風(黄色)が地球の磁気圏に向かって打ちつけられています。地球を焦点に黄色の衛星軌道が描かれていますが、「ジオスペース探査衛星(ERG(exploration
of energization and radiation in geospace))プロジェクト」で打ち上げられる衛星の軌道。
このプロジェクトはバンアレン帯を観測して、太陽風による「宇宙天気(space weather)」の変化を明らかにしようとするもので、このプロジェクトには国内外から100名以上の研究者が参加しています。
放射線はそれ自体が物質と反応して電離させるもので例えば、α線( 4He2+)、β線(β-崩壊では電子、β+崩壊では陽子)、γ線、X線、中性子線 です。
地球にやってくる放射線の90%近くは太陽起源といわれ、残りは星の最後の大爆発である「超新星」(恒星の世界で説明の予定)に由来すると言われています。
誰でも放射線と聞けばなんとなく恐ろしいと思っています。放射線は粒子が小さいのに、あるいは波長が短いのにエネルギーが高いことに恐ろしさがあります。
先に「物質と反応して電離させる」とあるように、生物の細胞のタンパク質や核酸に働き、これらを構成する原子を電離させてしまいます。この結果細胞の働きが低下したりDNAが破壊されたりし、最悪の場合細胞が死滅します。細胞の死滅は生物で言えば「死」を意味します。
さいわい、地球は大きな磁石=強力な磁界を持っており、太陽や宇宙からの放射線をトラップしてくれるために、地球上に細胞=生命が存在しうることになるわけです。
図-12 「地磁気とは何か」畠山唯達 milsil No.5 2014 vol.7 p.8 図3 の一部 独立行政法人 国立科学博物館
図-12の青・赤の曲線は磁力線。磁力線はN極からS極に向かうよう矢印を描く約束になっています。
地球の南極付近には地磁気のN極が、地球の北極付近には地磁気のS極があるので、図-12では磁力線の矢印は、地球の南極付近を下向きに出て、やがて上向きに変わり、地球の北極付近で再び下向きに戻って収束します。
図-12の赤の磁力線は地球から離れる方向(上向き方向)を示し、青はその反対を表しています。
電子や陽子は-や+に帯電しています。地球は大きな磁石で、地球のバリアとなっている地球(昼側)の磁気シールドをくぐり抜けた電子や陽子、あるいは夜側の地球から入り込んだ電子や陽子は磁力線にコイル状に運動(サイクロトン運動(またはジャイロ運動)、ローレンツ力)しながら磁力線の収束する両磁極近くに向かいます。
磁力線の収束するところ(磁極付近)では電子や陽子は、磁場に沿って跳ね返り戻り(磁気ミラー現象(またはバウンス運動))磁極間を往復します。
また、地球磁場の夜側から赤道面に飛び込んでくる陽子は、ローレンツ力が地球の中心に向かい、これが向心力となり東から西へ等速円運動を行います(ドリフト運動)。
一方、地球磁場と陽子とは反対の電荷を持つ電子はこの反対の運動(西から東へ)となります。(図-13)
内帯と外帯には空間(スロット領域)があり、この成因については地球の磁場と重力の強さの関係によるものではないかと考えられていますが、詳しくは分かっていません。
図-13 (図-6. 高温プラズマ粒子のドリフト 磁気圏対流edu.yamaguchi-u.ac.jp/~mis/www-page/.../bgt-08.pdfより、図一部借用)
図-13は北極上空から俯瞰した図で、太陽は図の向かって左にあり、地球が小さく円でしるされています。太陽側が半円昼で白く(向かって左半分)、半円夜で黒く(向かって右半分)示されています。太陽風が左から右に吹き付けて地球の磁気圏が放物状に歪んで描かれています。
太陽風や宇宙線からの粒子が地球の磁場に捕らわれて形成されると考えられています。電子は太陽が起源、陽子は宇宙線が起源とされています。
地磁気の磁力線沿いに南北に運動しており、北極や南極では磁力線の出入り口であるため粒子も大気中に入ってきて、これが大気と相互作用を引き起こすことによってオーロラが発生します。オーロラはバンアレン帯の粒子が原因であるため太陽活動が盛んなときは極地方以外でも観測されることがあり、そのほか、地球以外にも磁場を持つ惑星である木星、土星で存在が確認されています。
余計な記述:
人類史上初めて1969年7月20日アポロ11号が月面着陸しましたが、アポロが地球を脱出し月に向かう際バンアレン帯を通過しなければなりませんでした。
そのさい宇宙飛行士は相当量の放射線を浴び、最悪の場合死に至るため、アポロ11号は月には行っていなかった・・。アポロ11号があたかも月へ行って来たかのように、NASAがねつ造したということがまことしやかに伝えられたことがありました。
ウィキペディアによれば、「2009年7月 アメリカ航空宇宙局(NASA)は月探査機「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」によって撮影されたアポロ11号、14号、15号、16号、17号の5つの着陸地点の画像を公開した。月着陸船とその影が鮮明に写っているほか、特に撮影のタイミングの良かったアポロ14号の 着陸地点では、月面に置かれた科学装置や宇宙飛行士の足跡と推測される画像も捉えられている。」と記述しています。
先に太陽がどのようにして「燃えさかり」、「輝いている」のでしょうか? 木か?、石炭か?木炭か?水素か?先人が様々に考えてきた経緯を紹介しました。
地球であればあちこちからサンプルを採取して分析すれば、地球がどのような元素から成り立つか容易にわかります。しかし、太陽からサンプリングなど不可能です。
そこで太陽のスペクトルを調べることで、太陽がどのような元素を持っているのかが分かる-という仕組みになるわけです。
図-14(お断り:図-14~図-20までの「入射角・屈折角の関係」は正確な表現になってはいません) |
当HP「No.4 地震」図-12 で地震波P波の屈折について説明しています。光の屈折についても同様に説明できます。
図-14は「白い車」を「白色光」に見立て、空気から水(またはガラス)に斜め「白い車」が通過しようとする様子を模式的に表しています。
「白い車」(光)が空気と水(またはガラス)の境界にさしかかると、「白い車」の右前輪が左前輪より先に水(またはガラス)に入りブレーキがかかった状態になります。
イメージとしては、例えば舗装道路(空気)から砂利道(水またはガラス)に車が進入したような状態-と考えればいいでしょう。
そうすると砂利のため右前輪が進みませんが、左前輪は舗装道路のためスムーズに進みます。この結果、車はハンドルを右に切った状態になり、図-14のように光は黄色破線のように直進せず、屈折します。
面倒な話になりますが、水や音や光や波(山・谷=波動)の伝播は途中途切れて伝わることはありません。遅く来る波を待ち合わせすることから屈折という現象が起こります。
図-15 「紫車」が水、ガラスなどに突入した瞬間、大きく右前輪はブレーキがかかった状態になり速度は大きくダウン。その結果、大きく屈折します。 |
様々な波長の光の混じった太陽光線(白色光)は、真空中や大気中(希薄、または何もないから)ではおよそ3.0✕105km/sで一定です。
しかし様々な物質(水、ガラスなど)(の原子によって光の通過が妨害され)を、単色(単一の色、一色)光が透過する際は、光の速度は異なります。
「水、ガラスなどの中では、短波長の光は長波長の光より速度が遅く」なります。
すなわち、紫のように波長の短い光は、赤のように波長の長い光より速度が遅い-ということです。
電磁波の速度(例えば光、また一般の波も)=波長✕振動数 の関係(No.25 「海洋」 ⑧海面に起こる運動)があり、この関係から、紫の光の振動数は、赤の光の振動数より大きく(高い、多く)波長は短いことになります。振動数が大きく波長の短い光ほど、水の分子やガラスを構成する原子によって通過の際、障害を受けることとなります。
そのため紫のように波長の短い光は、赤のように波長の長い光より速度が遅くなります。
たとえば、海岸に杭が立っていて、小さい波(波長の短い波)は影響を受けますが、大波(波長の長い波)は杭を何ら影響を受けないで押し寄せる-と理解してもいいでしょう。
その結果、紫色光(水、ガラスなどの中で、赤より相対的に速度が遅い紫色光)が図-14のように空気から水(またはガラス)に斜め入射すると図-15に示されるような屈折が起こります。
一方、「赤色光」は「紫色光」より振動数は小さく(低い・少ない)波長は長いため、分子・原子の妨害を比較的受けずに進むことができます。その結果、「紫色光」より屈折はしません。(図-16)
「赤色光」と「紫色光」の二つの光を同時に同じ角度で斜めに入射させると、図-17のようになります。太陽の光がプリズムによって七色に分けられる仕組みが理解されると思います。
図-16 図-17に示されたように、「紫の色」ほど大きく屈折していません |
図-17 図-15と図-16を合わせると図- 17になります。空気中では「赤色光」 ・「紫色光」ともに足並みをそろえて進 められますが、斜めにガラスや水に侵入 するとそれぞれの振動数・波長の関係か ら屈折率(屈折の曲がりの違い)が異なり、足並みがそろわなくなります |
では、ガラスから光が出る時、屈折は同じような理屈にあっているのでしょうか?下のプリズムを見てください。
図-18 |
図-18に示されるように、ナルホドあっています。ここで蛇足ながら、プリズムを上下接着したのが凸レンズになるよね。(図-19) 上下を反対にすると凹レンズになるね~。
図-19
(図-19で、レンズの光の行路は、お絵かきソフトの関係で不正確です)
図-20 |
ところで日光の一部を取り込んでプリズムに入射させると図-20のように、「赤-橙-黄-緑-青-藍-紫」の七色に分かれ、この現象を「光の分散」、七色の光の帯(光を波長の順に並べた帯)を「スペクトル」といいます。
これはニュートンが初めて白色光をプリズムに入射させ、七色の光の帯に分かれることを示しました。そして、太陽光など白色光は様々な光が混じってできた光であり、これを「連続スペクトル」といいます。
黒体放射・黒体放射・連続スペクトル
黒体とは簡単に言えば、外部から入射する電磁波(光とか)を、あらゆる波長にわたって完全に吸収する物体。したがって真っ暗な夜、黒体は目に見えないことになります。
そして、物体の表面温度に応じて電磁波(場合によっては熱または光)を放射できる物体をいいます。
図-21
今では見られなくなった電熱器のニクロム線。トースター(図-22)でも同じです。スイッチを入れてすぐには、ニクロム線は温度は低く(T=小)電熱線の色も黒いまま(波長)λm=大です。しかししばらくすると電熱線は温度が上昇し(T=大)、電熱線の色も明るく赤熱します。(波長)λm=小
この関係、前に出ましたね。「3 太陽の表面温度 太陽の表面温度を求める方法」 「ウィーンの変位則 λm・T=C 」でした。
図-22
図-23 「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」の付図のみを引用
図-23は縦軸が黒体から放射されるエネルギー量、横軸が黒体から放射される電磁波の波長を(nm(ナノメートル))表しています。
「赤紫色」の曲線は、3000Kの表面温度の黒体から放射される電磁波の波長とエネルギー強度の関係を表しています。「赤」、「オレンジ」、「黄」、「緑」はそれぞれ表示された温度での電磁波の波長とエネルギー強度の関係ということになります。
「赤紫色」の曲線について詳しくみましょう。例えば3000Kの表面温度の恒星と考えてもよいわけですが、様々な波長の電磁波が放射されていて、最も強く放射されている波長が800nm(図-23)で、その放射されるエネルギー量は縦軸の2メモリほどしかありませんよ-と言うことになります。
また、「赤紫色」の曲線と横軸で囲まれた「凸」部分の面積は、3000Kの表面温度の黒体から放射される全エネルギーと考えて良いわけです。
以上見てくると、表面温度Tと最も強く放射される電磁波の波長λmが反比例していること、また表面温度が高ければ高いほど放射される全エネルギー量が大きいことが図-23から分かります。このことは、言ってみれば冬に「寒いから石油(ガス・石炭・薪・炭?!)ストーブの温度を上げる」と「(受け取るエネルギーが増えて)暖かくなる」のと同じことになります。
また、図-23の各曲線は途中でへこんだり、途切れたりしていません。つまり黒体からは連続的な赤外線・可視光線・紫外線が放射されます-そういうことを示しています。つまり「連続スペクトル」が放射されることになります。(前出 4 光の分散・スペクトル)
可視光線としてはそれぞれに強度の差に違いはあるものの、「赤-橙-黄-緑-青-藍-紫」の七色が放射されているわけですから、大体「白色」に見えることになります。
図-23からわかるように、黒体をより高温の状態におけば、波長の短い光がよりいっそう強く放射されるため、白や青白色に輝く(星)になります。
輝線スペクトル
中学校の「炎色反応」の実験を思い出してください。例えばカリウムの炎色反応を調べる際には、白金線に塩化カリウム水溶液をひたし、ガスバーナーの炎で加熱しました。一瞬紫色の炎に変わり「きれいー!」と歓声をあげたはずです。(図-24)
ナトリウムの場合は「黄色(波長588nm、589nm)」、乱暴な説明をすれば、トンネル内の「ナトリウム灯」の色を発します。
見たとおり発生した光は白色ではなく単一色で、(分光器をとおして得られた)スペクトルは「輝線スペクトル」とよばれます。カリウムやナトリウムなどが紫色や黄色の炎色反応を示す原理は前出、「オーロラ発光の仕組み」の説明とほとんど同じです。
次にここからは、太陽が「木か?石炭か?木炭か?水素か?」何が燃えさかって輝いているか-ややこしい話に入ります。
図-24
調べようとする光をコリメーターをとおしてプリズムに入れます。同時に吸収線(暗線)や輝線の波長が調べたいですから、波長スケールをあわせてプリズムをとおして取り入れる仕組みになっています。
図-25 分光器 国立科学博物館展示品
そこで、ナトリウムの炎色反応を分光器でしらべると下の図のように、輝線スペクトルが得られます。
図-26
Naの炎色反応を分光器で調べると、波長588nm、589nmの黄色の輝線スペクトルが見られます。
では次に、黒体(炭、白熱電灯(エジソンが白熱電灯のフィラメントに日本の炭化させた竹を用いたのは有名な話です。)を点灯させるとか)を高温の状態にさせて分光器で調べると図のように連続スペクトルが現れます。
図-27
ではさらに、分光器と白熱灯の間でNaの炎色反応を(長時間にわたって)行った場合どうなるでしょうか。設定は以下のようになります。
図-28
白熱灯・黒体から放射される連続スペクトルから、高温のNaの発する588nm、589nmの輝線スペクトルの部分だけが横取りされて暗線となってしまいます。(上の図で長時間にわたってNa原子が供給されるとすると)Naが輝線として輝くための特定の電磁波(黄色の光)を吸収するため、暗線ができす。
このことは太陽の近くに行ってサンプルを採ってこなくても、太陽や星、それらの近傍にどのような元素があるか、太陽や星が何からできているか知りうる原理になります。
つまり黒体が太陽で、太陽の周囲に高温のNaが存在すれば、上の図のようなNaの発する588nm、589nmの暗線が連続スペクトルの中に見られます。逆に、連続スペクトルの中に588nm、589nmの暗線が見られれば、それはNa由来の暗線であるから、Naは太陽からもたらさられたであろう-と推定されることになります。
もちろん分子によっても連続スペクトルから吸収が行われ暗線ができますが、波長の巾のあるものとなります(「帯スペクトル」)。そうすると物質の特定がやや不確定にならざるを得なくなります。
もっとも太陽の光球は6000Kと高温で分子でいられず、原子やプラズマに解離しているわけです。
図-29
2012年 milsil No.3 Vol.5 花岡庸一郎氏「太陽観測の歴史」図2を一部改変
スキャナーで読み取ったため図が不鮮明ですが、縦に細かな暗線が見えます。主な元素の暗線に元素記号を振りました。
フラウンホーファー線
フラウンホーファー(1787~1826ドイツの物理学者)は太陽のスペクトルの中に570本の暗線を発見しました。その後キルヒホッフ(1824~1887同じくドイツの物理学者)暗線が固有の元素の原子に由来することを述べて、太陽が何からできているか分かりました。
その結果太陽には70種近い元素の存在が確認され、水素が圧倒的に多いことが分かります。図-30の元素記号の前の数字は原子番号、比較的多い10番までの元素をグラフ化しましたがあまりにも差が大きく、第2位の酸素以下は0%表示となっています。
しかし地球は太陽系の惑星として誕生したわけですから、圧倒的な水素の他酸素、炭素などの元素が十分用意されていたのは地球に水が存在し得たり、有機物が作られたりそして生命の誕生を見るに至ったのは偶然と片付けていいものか?なにか不思議なことを感じます。
図-30
1 H 水素 |
2 He ヘリウム | 8 O 酸素 | 6 C 炭素 | 7 N 窒素 |
28000 | 2700 | 24 | 10 | 3.1 |
16 S 硫黄 |
12 Mg マグネシウム | 14 Si ケイ素 | 6 Fe 鉄 | 10 Ne ネオン |
3 | 1 | 1 | 0.9 | 0.45 |
18 Ar アルゴン |
13 Al アルミニウム | 20 Ca カルシウム | 11 Na ナトリウム | 28 Ni ニッケル |
0.1 | 0.083 | 0.064 | 0.06 | 0.05 |
ケイ素の存在比を1とした場合の他の元素の存在比(一次データは「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」Kaye &
Laby :再計算およびグラフ化はChigakukyoushitu)
星(太陽)の世代
138億年前、宇宙がビッグバンによって誕生し、その数億年後最初の星が形成されてと言われています。
宇宙や星の世界は何か悠久の世界のように思っていますが、星にも世代があります。
そこで太陽は宇宙の始まりの頃からの「古参」(第一世代)の星なのか、お父さん・お母さんの星に次ぐ第二世代の星なのか-という問題になります。
詳しい説明は「恒星の世界」でおこないますが、太陽は「第二世代」の星です。太陽はもとより、鉄より重い(陽子・中性子を沢山持つ元素)を持っていることから「第二世代」の星と考えられています。
つまりかつて重い星だったものが爆発を起こし、重い元素が宇宙に撒き散らかされ、それかが凝縮され「第二世代」の星、太陽・太陽系惑星が形成されました。私たちの体を構成している原子はかつて星だった・・。ということになります。
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