No.16 堆積物と層序


 風化によって生じた「泥」・「砂」・「礫」の粒子、あるいは火口から噴出された未固結(まだ固まっていない)の火山灰・火山礫・・・、あるいは生物の骨・貝・殻など、あるいはCaCO3のような化学的沈殿物「堆積物」といい、それらがコンクリートのように固結(固まった)した状態のもの「堆積岩」といいいます。

「続成作用」
 未固結の堆積物が堆積場所で堆積岩として固結するまでを、続成作用といいます。


 ① 礫岩


 北海道 襟裳岬付近の新生代新第三紀中新世歌露(うたろ)礫岩:礫が変形され引き延ばされています。

 このように、草や木に覆われず、地層や岩石・堆積物が直接観察される所を「露頭(ろとう out crop)」といいます


 岩手県 夏山(なつやま)礫岩

 地質時代は古生代上部デボン紀(岩手県南部に分布する鳶ヶ森(とびがもり)層に含まれる夏山礫岩)。 

 様々な結晶片岩、角閃岩、石英閃緑岩のこぶし大~小石大の淘汰不良の礫からなります。通常の堆積性の礫岩とは異なり、噴火活動に伴い形成された特殊な「礫岩」とも考えられています。近辺には、母体(もたい)変成岩帯の一部分に分布する「正法寺(しょうぼうじ)礫岩」も見られます

 

 礫岩からなる「のこぎり山」

(Panoramical of the north-eastern face from want of Monistrol  モンセラート修道院売店で購入

 スペイン・バルセロナから北西に約30kmのところにモンセラート「のこぎり=serrat、山=Mont」があり、およそ1000年前から修道院が 建設され毎日2回のミサが行われ、スペインの観光地の一つとなっています。世界遺産と思っていたら未だに登録にはなっていませんでした。

 現在では、ケーブルカー、登山鉄道で修道院に行くことが出来ます。世俗を離れ、より高いところで祈りを捧げれば神に近づく、神と一体化出来る-そう思うのではないでしょうか。

 さて地形・地学的には、最も高い岩峰が1236mで、古第三紀のれき岩からなります。れきは10円硬貨大~こぶし大で、ピンク色を呈し、れき岩層は海成層で西へ緩やかな傾斜を示しています。

 

メテオラの場所  
(おことわり:この地図は阪急交通社作成の旅行パンフレットの一部を使用しています。) 階段を登ってメガロ・メテオロン修道院へ
40~400mの切り立った崖 岩峰の頂上に修道院

 ギリシアのアテネから北西260kmの所に、Kalanbakaという人口1200人の町がありメテオラ(Meteora)修道院が岩山の頂上に建っています。イスラム教徒の進出から逃れ、1400年頃ギリシア正教徒によって24もの寺院が建立されました。meteora は「空中につり上げられた」という意味であり、meteor は「流れ星」、「流星」、meteorite は「隕石」で語源を同じうすることがわかります。

 
 標高差40~400mの岩峰からなり、砂岩・れき岩層から構成されています。写真から分かるとおり層理が明瞭で緩く傾斜しています。堆積した時代は比較的新しいらしい(新生代第四紀?)が不明。

 岩峰の頂上の修道院は「メガロ・メテオロン修道院」で、1344年アサナシウスによって開かれたといいます。メテオラで最大の修道院で「メタモルフォシス(metamorphosis)修道院」とよばれています。

 当地学教室で学ばれた皆さんはお気づきのことと思われますが、metamorphosisはmetamorphose 変成させる、metamorphism 変成作用 と関係の深い単語であると思うでしょう。(No.13 変成作用と変成岩  1 変成作用(メタモルフォーゼ)を学ぶには,この話は欠かせない。)

 しかし、どのようなわけでメガロ・メテオロン修道院が「メタモルフォシス修道院」とよばれているか、残念ながら今のところ不勉強で説明できません。

 ② 凝灰岩層


 緩く傾斜しています。

 北海道室蘭市鷲別岬付近、時代は新生代新第三紀鮮新世


 水金沢凝灰岩 佐渡金山展示資料館

 

 

 溶結凝灰岩。火口から火砕流または噴出した火山灰などが高温だったため、まだ溶けている状態で地上に降り積もるわけです。そのため、その温度と自重によって火山灰・火山礫・軽石などが相互に接着してできたのが溶結凝灰岩になります。左から右下に斜めにスジが見えますね。堆積した様子ですし、火山礫や軽石がレンズ状に押しつぶされているのが観察されます。佐渡金山展示資料館

 栃木県宇都宮市に産出する「大谷(おおや)石」、これは凝灰岩で白色~緑白色の凝灰岩で家の塀などに利用されています。


 ③ 石灰岩

 CaCO3の成分を含む貝殻、フズリナやサンゴの遺骸が集積して形成されます。石灰岩地帯には、二酸化炭素を含む雨水によって溶食作用が発生し、鍾乳洞などカルスト地形が形成されます。(No.15 地表の変化と物質循環 1 風化作用の項参照)
 石灰岩はセメントの原料、酸性土壌を改良する消石灰として利用されます。宮沢賢治は東北砕石工場を訪れ、土壌改良を行おうとしました。

 エジプトのピラミッドは、灰色~黄灰色の石灰岩が積み上げられてできています。人の大きさと比べてみてわかるように1つのブロックが大きいです。写真右隅の暗くなっているところがピラミッドの入口、狭いトンネル状の穴を通り玄室に入ることができます。中に入っているときピラミッドが崩れたら・・・。こわいですね。

 

 また、石灰岩は漢方薬として喘息の薬として使われたという記録もあります。

 

 

 

 ハロン湾石灰岩
ベトナム・ハロン市の南に位置するハロン湾は、石灰岩からなる湾、および無数の島・多数の鍾乳洞からなり、その美しい景観から、1994年世界自然遺産に登録されています。

 

 


フズリナ石灰岩
米粒状に見えるのがフズリナ。栃木県葛生(くずう)国立科学博物館展示品

 


Zadar 石灰岩 海はアドリア海 7月上旬

 

 ④ 岩塩

 岩塩の主な産地はドイツ、湖沼の水に溶けていた塩類が結晶化して岩塩が形成されます。
 岩塩は、石膏とともに乾燥気候を表します。写真はパキスタン産、コインの直径は2cm

 

 堆積岩ではありませんが、有名なのがウユニ湖(ウユニ塩原)

 写真は白尾元理氏 ジオルジュ(日本地質学会 広報委員会発行) 2014年前期号表紙写真

 ウユニ湖(ウユニ塩原)も人気の高い観光地の1つで南米ボリビアの高地(富士山くらいの高さ)にあります。それでいて広さが広く、塩分濃度が高い湖で、しかも年間雨量がきわめて少ないところです。乾季になると湖が干上がって、塩分がこのような文様を作り出すというわけです



「地層累重(るいじゅう)の法則」
 デンマークのニコラス・ステノ(Nicolas Steno 1638~1686)による。「(褶曲(しゅうきょく)によって地層が逆転していない場合)上の地層は下の地層より新しい」=そんなの当たり前だ!との声が聞こえそう。
 下の図の場合、F層が最も古い地層。しかし、地層が褶曲しているために、下位の部分だけを見るとD層が最も古い地層と誤って判断してしまうこととなります。

 

 


 「断層」はfault、語源は失敗。テニスのサービスの失敗を審判は「fault!」とコールします。
 このようなこともあり、地質図上では断層はF-F'(f-f')で示されます。(C.Lyell, Elements of Geology(地質学原理)を1872年漢訳した華衞芳が「fault」を「断層」とした説明しています。(歌代ほか「地学の語源をさぐる」東京書籍(1978)) 

 下の図はひとみちゃんが石炭層を採掘していて断層を境にそのまま先に進んでも石炭層を採掘できなくなる様子を示しています。つまり、石炭層を採掘することにfault =失敗する-。
 日本語では「地層が断たれる」、事実に即し直裁に表現している。英語圏、日本の事実の見方と表現の違い、面白いです。

 断層の正・逆の判定もすっきりこない人が多いのではないでしょうか。

まず、
①断層の正・逆の判定は、断層面を境にした上盤(うわばん=上側のブロック)、下盤(したばん)の動きで決まる-こと。
②上盤が(下盤に対し相対的に)下がっているときは「正断層」、
③上盤が(下盤に対し相対的に)上がっているときは「逆断層」-になります。


 上の図で、断層F2-F2'について、断層面に「乗っている」岩盤・ブロックは左ブロック。この断層を深く追いかけて行っても、もっと上に追いかけても断層面に「乗っている」岩盤・ブロックは左ブロックで、かわることはありません。

 つまり左ブロックは「上盤」、これに対し中央ブロックは下盤と言うことになります。断層F2-F2'は、上盤(左ブロック)が(下盤(中央ブロック)に対し相対的に)下がっているとA層~D層の地層のずれから判断できるので、「正断層」となります。 黒の➡は岩盤に加わる力を示していて、正断層を発生させるのは水平方向の張力によります。

 一方、断層F1-F1'については、上盤は右ブロック、下盤は中央ブロック-となります。上盤が(相対的に下盤に対し)上がっていると判断されるので、「逆断層」となります。プレートの沈降帯では逆断層形成に伴う地震が発生、大きな被害をもたらしています。
 断層面と水平面とのなす角が45度以下の場合「衝上断層(しょうじょう)」といい、水平方向の圧縮力によって逆断層が形成されます。

 横ずれ断層の「右ずれ」、「左ずれ」の判定のしかたは、「No.12 プレートテクトニクス」のページを参照してください。

 

 

 

 

 安田政彦(2013) 災害復興の日本史(吉川弘文館)より引用


  根尾谷断層は1891年(明治24年)に発生した濃尾地震(M=8)によって形成されました。
 断層は高低差6mの正断層で写真の手前側が上盤で相対的にずれ落ち、写真奥側が台地状に高くなっているのがわかります。写真中央に道があり水平方向のずれは無いように見えますが、左ずれ断層で最大8mの変位であるといいます。
 断層の上盤側=写真手前側の道の向かって右側に人が立っていて、左に影が伸びているるのが分かりますか?
 また、写真右側の断層崖(下段側)には写真説明として手書きで白く「Fault」と書かれています。
 写真右側には斜面が見え、地滑りが発生し所々表土と木々が崩落している様子が見えます。
 この濃尾地震は、福井県南部から岐阜市・愛知県にNNW-SSEに延びる76kmもの断層を出現させました。死者・行方不明者は7300人ほどで、22万戸もの家屋の全半壊の被害を受けたということです。

 

 岐阜県本巣市HPより転載

 やや拡大しすぎて画像が荒れていますが、上の写真とほぼ同じ位置から撮影されたと思われます。中央の道路の両側が切り割りになっているところがあり(左側に白い立て看板がみえる)、そこが断層崖ではないかと思われます。地震発生から130年近く経過していますが周囲の山、林、変わっていませんね。

 ところで、この根尾谷断層の近くには、根尾谷淡墨(うすずみ)桜(エドヒガンザクラ)という銘木があり、樹齢1500余年、樹高16.3m、幹囲9.9mとのことです。散り際には淡い墨色を帯びるため上のような名前がついたようです。

 「根尾谷淡墨桜」、「三春滝桜」(福島県田村郡三春町)、「山高神代桜」(山梨県北杜市)は、大正11年10月12日に国の天然記念物に指定され、「日本三大桜」と呼ばれているそうでまったく知りませんでした。

 

 

 走向:(地層が傾斜している場合)層理面(=地層境界面、層面)と水平面との交線の方向。走向が磁北から20度東に向かっているとき「N20°E」と記します。

 

 A層、B層が断層運動などで乱されることがなければ、この場合「この高さでN30°E方向(逆向きには、S30°W方向)でA層、B層の地層境界が現れる」ということ-これが走向、地層が「走」り「向」く先、地層境界が「走」り「向」く先、あるいは断層も同じく「走」り「向」く先と理解していいと思います。

 

 傾斜:(地層が傾斜している場合)層理面(=地層境界面、層面)と水平面とのなす角度

 

 上の図の場合、走向(線)は磁北から20°東を向いているので、走向「N20°E」。傾斜は30°。最大傾斜線の向きは南東なので、傾斜「30°SE」と表記します。

 「なんで、傾斜「30°SE」なの?」の人のために、下の図で説明。

 走向と傾斜(の方向)は直交するので、走向が南北の場合だけ「東」に30°とか「西」に45°とかと「キレイ!」なります。しかし、一般的には走向は南北からウネウネ、うねっているので傾斜の方向がぴったり東、西になりませんね。

 上の図(右下)で傾斜の角度はそのままで、仮に走向が20°Wとなると傾斜の方位は(30°)NEになります。理解できますか?

 

 

 

 

 写真のクリノメーターを使って、地層(あるいは断層)の走向・傾斜を測定します。
 方位磁針と同じだと思った人は誰ですか?「さよなら!」「明後日おいで!」。
 方位磁針とはEとWが反対です。これは走向を読み取りやすくするためのものです。 
 水準器(ガラス管に水と気泡が封入され)が二方向に付いていて、走向(走向線)に水平に当てられるように作られています。


 青の直線が走向(線)で、走向が仮にN30°Eとします。走向にクリノメーターを水平に当てます。磁針は当然、南北(磁北)を指して静止しますね。
 このとき、クリノメーターのW-Eの表示が下の図のように方位磁針と同じであると、走向を読み取るときに面倒で、混乱します。そこで、クリノメーターではW-Eを方位磁針とは反対に入れ替えて表示しています。

 クリノメーターの磁針のNの指す数値(N30°と)を読み、Eを付け加えることになります。
 
 閑話休題。著名な地質学者が、クリノメーターのW-Eが方位磁針と反対に表示されていることをうっかり忘れ、東西反対に歩いてしまい山中で道に迷ったことがある-という-ホントのお話。



 ひとみちゃんが地質調査に出かけ、露頭を発見。表土を含んで、ほぼ水平に堆積する七つの地層を確認し上図は露頭のスケッチである。①~⑦の一枚一枚の地層は「単層」と呼ばれます。

 露頭の観察メモは以下のとおりです。

もっとも下位にある地層から

①礫岩層:基底部分のれきは大きく、上部に向かってれき径は次第に小さくなり2mm程度の砂に漸移する。礫を構成する岩石はこぶし大から碁石大の花こう岩、片麻岩、玄武岩溶岩などである。見かけ上の級化構造から地層の逆転は考えられない。

②砂岩層:①の礫岩層から漸移した部分で厚さ20cmほどである。葉理など特に堆積構造は発達していない。また、化石も含まれない。

③含礫砂岩:厚さ15cmほどで豆粒大の礫を含む。礫種は、①礫岩層に含まれるものとほぼ同一である。

④級化層理の見られる砂岩層:厚さ15cmほどで③含礫砂岩層の上に整合に堆積している。見かけ上、下位が粗粒で上位が細粒となっている。この地層に次の図

-化石(アンモナイト(岩手県立博物館展示、一部写真))が含まれていた。のちに化石図鑑から、この化石は中生代白亜紀を示すことが分かった。

⑤斜交葉理の発達する砂岩:葉理の「切った」、「切られた」関係から、地層の逆転はないものと考えられる。

⑥砂層:厚さ60cm以上。砂岩層であったものが風化され軟弱になって砂層となっている。この一帯は、最下位の①礫岩層から⑥砂層まで、多少の堆積環境の変化はあったものの、大きな堆積を休止するような不整合の時代はなかったと考えられる。


 (1) ①礫岩層の礫岩層に花こう岩、片麻岩、玄武岩溶岩の礫が含まれることから、近隣には広大な変成帯・造山帯があり浅海が広がっていたものが、次第に堆積盆が沈降していった(②砂岩層への漸移)。上位の地層からは、白亜紀を示すアンモナイトの化石が発見されているので、変成作用・造山運動は中生代中期以前と考えられる。

 (2)この堆積盆は礫を含むことから(③含礫砂岩の存在)、ややゆるやかな上昇を行ったと考えられる。

 (3)一帯は上昇し浅海状態となり礫岩を堆積しつつ再び沈降し、級化層理の見られる砂岩層を堆積した(④級化層理の見られる砂岩層)。

 (4)⑤斜交葉理の発達する砂岩は、波の動きが砂の堆積に反映されるほどの浅海であることを示している。


 鉱石有用元素を含んだ鉱物(=鉱石鉱物)が濃集している岩石
 鉱床鉱石が存在する場所

 鉱床のタイプ
 地質作用に応じた鉱床が成立します
(1)火成作用(マグマの働き)→火成鉱床
 金の産出状況。金の周囲の鉱物は石英、長石類。マグマから放出されたAu、Ag、Cu、Pb、Znなど金属イオンを含む熱水が火山岩体から放出され、周囲の地層にしみこんで鉱床が形成されます。(熱水鉱床)

 


(2)堆積作用→堆積鉱床、ex.石炭紀の石炭鉱床

(3)変成作用→変成鉱床、ex.別子鉱山、秩父鉱山


不鮮明なニュージーランドの地質図でした。あとでとりかえます。ごめんなさい。

 

 

 上図は岩手県奥州市羽田町(旧水沢市羽田町)、北上川支流大田代川流域の1/2000のルートマップ(踏査路線図)です。

 当地域には、先カンブリア代と見られる変成岩類と貫入時代不明の蛇紋岩が断層を伴いながら複雑に分布しています。しかも新第三紀、第四紀の堆積物によって覆われ、分布が連続的ではありません。ただ、南北方向に伸びていることは明らかですが、未だ決着を見ないフィールドの一つです。

 先カンブリア代と見られる変成岩には、縞状圧砕性花こう岩、礫岩様圧砕性花こう岩、緑泥石-絹雲母片岩、緑色岩、角閃岩、チャート様岩など多彩で、断層・破砕帯を伴います。


 上図は岩手県奥州市羽田町(旧水沢市羽田町)黒石寺~正法寺付近の1/25000の地形図に、ルートマップ(踏査路線図)のデータを落としたもので、走向(片理)・傾斜、断層を勘案し地質図を作成して行く途中経過を示したものです。

 

図 北海道 江丹別峠(エタンベツ)付近の神居古潭(カムイコタン)変成帯の地質図(原図 Chigakukyousitu )

 野外調査を行いルートマップを拵え、それをもとに 1万分の1の地形図、あるいは2万5千分の1の地形図にデータをプロットして地質図を完成させていきます。上の三枚の地質関係の図は同一地域一連の地質図作成のデータではありません。これまで述べたような手順を踏むことを皆さんには理解いただきたいと思い提示しました。
 
 野外調査の現場で、肉眼・ルーペによっても決定できない岩石・地層も当然出て来来ます。また、それまでそのフィールドで報告されていない岩石・鉱物・古生物・化石等発見されることもあります。その際にはサンプルとして採取地点をルートマップに記述し、場合によってはその岩石の方位をも記録して研究室に持ち帰ります。岩石を薄く研磨し、光学顕微鏡で観察したり、鉱物の光学性を測定してするなど、あるいは粉末にしてX線で分析し鉱物を同定します。

 上図の地質図は北海道江丹別町。低温高圧型変成岩(結晶片岩)が蛇紋岩を伴って分布している様子を示しています。

 「神居古潭(カムイコタン)(地名)」は旭川から石狩平野に石狩川が抜ける渓谷で、ここに結晶片岩が分布し、神居古潭変成岩の模式地となっています。カムイ=は神、コタン=住む場所を意味します。

 結晶片岩の源岩は上部ジュラ紀の空知(ソラチ)層群?砂岩、チャート、玄武岩、はんれい岩等。変成の時代は新生代の始め、古第三紀頃?と考えられています。

 

 

 

 地質図上に断面線XYが引かれています。地質図上でこの線にそってナイフを垂直に入れ、ナイフで切った切り口を南側から北向きに地質断面を見ようとします。これが地質断面図で、そうすると地質現象の順序が明らかになります。
 まず地形断面ですが、断面線XYと各高さの等高線との交点を断面図のその高さに印を付けます(上図参照)。

 礫岩の地層境界線は270mの等高線(地質図上には示されていません)に一致してますから、水平層であることがわかります。 (上図では誤差のため260mと280mの真ん中に礫岩の地層境界面が描かれていません)

 一方、玄武岩岩脈は等高線に無関係に一直線状です。つまり真上から見て真下に傾くことなく岩脈が続くため直線状になるわけです。
 次に、傾斜層の断面図の書き方の説明をします。

 

 

 石灰岩と砂岩の地層境界線に注目します。「260mの等高線」と「石灰岩と砂岩の地層境界線」の交点同士を結んだ直線は「石灰岩と砂岩の260mの走向線」になります。つまり、石灰岩と砂岩の境界が高さ260mにある-ということですから、断面図の260mの高さに印をつけます。同様に240mの走向線、220mの走向線を引いて断面図に印をつけ、4点を通る直線を引きます。
 この走向線の方向はとりもなおさず「走向」であるわけで、この場合走向はN-Sとなります(石灰岩も砂岩も泥岩も整合(連続堆積)に堆積していますから、すべて走向はN-Sです)。
 ここで分かるように、高さの異なる2本の走向線を引くことによって、地層(境界面)がどのような方位に傾斜しているかわかります。東傾斜ですね。
 ついでに玄武岩岩脈の走向はおよそN30°Wくらいでしょうか?傾斜は当然90°になります。
 次に、砂岩・泥岩の地層境界線を書きます。

 次は「砂岩と泥岩の地層境界線」と等高線との交点に注目します。が、慣れないうちは別な地層境界線と結んでしまったりします。また玄武岩は泥岩・砂岩・石灰岩を貫いているので表現を間違わないようにしましょう。

 

以上のように地質断面図を書くことによって地質現象の順序が明らかになります。

 地層の逆転などない場合、石灰岩の堆積→砂岩の堆積→泥岩の順に堆積(この三層の関係は整合)。その後地殻変動が起こり傾斜し、一帯は上昇、浸食を受けた(不整合面の形成)。その後沈降し礫岩が堆積した。玄武岩岩脈が貫入した時代は石灰岩・砂岩・堆積・泥岩が堆積し、そして地殻変動を受けて一帯が傾斜した以後であるが、「玄武岩岩脈が礫岩を貫いているか地質図では示されていないので」、礫岩堆積以後か、それとも礫岩堆積以前か判断は出来ない。-以上のようになります。

 

 

 

 

 

sediment、The Nobel Prize 、emigration、(immigration)、volcanic ash、biological、bone、shell、deformation、Karst、by mistake 、judge、express、fact、relative、strike、dip、inclination、comprehend、spirit level 、confuse、(confusion(n))、discovery,find(dis=取り去る、cover=覆い、覆いを取り去るから「発見」するの意)、truth、real、complicated、continually、explain