No.13 変成作用と変成岩


1 変成作用を学ぶにはこの話は欠かせない

 1991年の発売らしいですが歌手の工藤静香さんが、なんと「メタモルフォーゼ(metamorphose(動詞)=変形・変化させる。変成させる。)」と題してCDを出していたのです。

 歌詞は、「ダメな振りをしているけど、本当はあなたのことが許せるから、私を変えていいのよ(metamorphoseしていいのよ)。」と言う内容? と。

 metamorphoseの派生語には、metamorphism(名詞)=「変成作用」、metamorphic(形容詞)=「変成の」、の語があり変成岩はmetamorphic rockとなります。

 静香さんの「メタモルフォーゼ」を作詞した作詞家の語彙の豊富なこと、そしてその言葉を歌詞に使いまわす鋭い感性とアイデイア、さすがです。
 ちなみに作詞は松井五郎さん、一度聞いてみて下さい。

 

2 変成作用 metamorphism

 変成岩はマグマから火成岩が作られるように「変成作用」によって新たに岩石が作られるのではありません。

 変成作用は、「もともとあった岩石(鉱物)が、高温・高圧の状態におかれることによって、その条件で安定となるよう固相のままで原子・イオンの配列を変換して新しい鉱物からなる岩石に変化する過程。」です。(溶けてしまったら、マグマになってしまいます。)もともとあった岩石を「原岩」といいます。

 イメージとしては下の図が分かりやすいでしょう。

 変成作用を受ける前の原岩は色は緑でフォードア、屋根には何か飾りがあります。これが変成作用を受けることによって、色も異なれば形も異なる新しい車(=変成岩)に変化します。

 つまり変成作用を受けることによって、岩石が新しい鉱物・新しい組織に改変されるということになります。


3 多形(または、同質異像(どうしついぞう))

 

 多形(または,同質異像(どうしついぞう))
   化学成分は同じでも、互いに結晶構造の異なる鉱物の関係を言います。

 図のように、藍晶石(らんしょうせき)紅柱石(こうちゅうせき)珪線石(けいせんせき)はいずれも化学式は AlSiO でも,結晶構造は互いに異なり、「多形(たけい)」の関係にあり、それぞれが安定な温度・圧力条件が示されています。

 大ざっぱにいえば、珪線石は比較的に高温で藍晶石は高圧で紅柱石は中温・低圧でそれぞれ安定である-と言えます。このようにこれらを含む多くの変成鉱物の安定条件が実験によって確かめられているため、採取された各変成岩に含まれる変成鉱物の種類・違いによって、その当時の変成作用の温度・圧力条件を推定することができることになります。

 

 上の図で赤の●印は三重点で、三つの鉱物が安定な特別な温度・圧力条件で、まれに岩石に三つの鉱物が含まれることがあります。この場合は変成の温度・圧力条件がきわめて限定されることになります。

 

 高校地学では、次の4つの多形を押さえておくことが重要です。(化学式と鉱物名)


  化学式 鉱物(多形の関係)
C 石墨←→ダイアモンド
CaCO3 方解石←→アラレ石
SiO 石英←→クリストバル石
AlSiO 藍晶石 ←→ 紅柱石 ←→ 珪線石

石墨(graphite)とダイヤモンドの関係

 炭素原子の結合の仕方の違いで、石墨とダイヤモンドは鉱物の色も、硬度も、透明度も異なります。
 石墨は、炭素原子が六角板状につながったものが、層状に重なっています。層と層の結合は弱いので、はがれやすくなります。
 石墨は、粘土とともに練り込まれ、鉛筆・シャープペンの芯に用いられます。そして紙の上に文字として残ることになります。鉛筆・シャープペンの例えばHB、Hはhard=硬さ、粘土の量、Bはblack=石墨、黒鉛の量を表し、HBは粘土の量と石墨、黒鉛の量が半分ずつということになります。2HのようにHが増えれば硬く、3BのようにBが増えれば柔らかく黒く書けることになります。

 一方、ダイヤモンドは炭素原子が立体的に結合し、結合が強靱なため、硬度は10と最も硬い鉱物になります。

(上の四枚の写真は上野国立科学博物館での撮影にによります)

4 変成作用の分類

 変成作用は大きく分けて接触変成作用と広域変成作用にわけられます。

 泥岩、石灰岩など(=原岩)が深成岩マグマの貫入(かんにゅう)によって熱を与えられ、粗粒(大きな結晶)な新生鉱物からなる岩石(=接触変成岩)に再結晶が行われる変化


原岩 変成岩
泥岩、砂岩、
粘板岩
接触変成作用

ホルンフェルス
石灰岩 接触変成作用
結晶質石灰岩
(=大理石★(マーブル))

 *ホルンフェルス=hornfels、horn=角、触角、楽器のホルン(角笛)、fels=岩石。 ホルンフェルス=hornfels=「獣の角のように硬い岩石」の意。★大理石=marble。マーブル チョコレートってありますよね。

 原岩(例)の写真


 接触変成岩の顕微鏡写真 バーの長さは0.1mm

(橋本光男 1987 日本の変成岩  岩波書店)

 

 造山運動に伴い温度の上昇の他、原岩が高圧の状況におかれることによって行われる変成作用。
 温度・圧力条件の違いによって
 
 ① 低温高圧型広域変成作用、

 ② 高温低圧型広域変成作用

 の二つに分類されます。

 (変成作用の温度・圧力条件の違いが、先の AlSiO 多形鉱物が新たに形成される広域変成岩にどのように含まれるかの違いとして反映されます。)

 

原岩
広域変成作用 形成される広域変成岩
泥岩、砂岩 ①低温高圧型 千枚岩、結晶片岩
泥岩、砂岩 ②高温低圧型 片麻岩

 結晶片岩鏡下スケッチ(角閃石-石英片岩)

 針状の角閃石、石英・斜長石が縞状に配列し、片理を構成しています。

 

 片麻岩の鏡下スケッチ(黒雲母-石英-ザクロ石片麻岩)

 Bi=黒雲母、Qtz=石英、G=ザクロ石、上の結晶片岩と比較すると、片理はさほど発達しておらず、また結晶が大きいのがわかります。

角閃岩の鏡下スケッチ

 

(高校地学では習いません。等粒状の緑簾(りょくれん)石-角閃石からなります。片理は見られず塊状な産状を示すものが多いです。スケッチの直径は2mm)

大歩危峡(おおぼけきょう) 三波川結晶片岩からなる渓谷

 

 低温高圧型変成帯である三波川変成帯。三波川結晶片岩は、中央構造線の南側に、帯状に関東山地から九州東部まで約700kmの長さにわたって分布する。関東山地では長瀞、四国では大歩危、小歩危(こぼけ)など、特異な渓谷美を示しています。
 変成の時代は白亜紀後期と考えられています。

 

日本の広域変成岩分布地図

 

(橋本光男 1987 日本の変成岩  岩波書店)

 

変成の温度・圧力条件と変成岩の関係

(橋本光男 1987 日本の変成岩  岩波書店)

 

 

 

 

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