No.12 プレートテクトニクス


plate=岩盤、プレート。tectonics=地質構造学、構造論。テクトニクス

 地球は20枚近くのプレートに覆われていて、それらの動きによって地震が発生したり、火山活動が起こったり、造山運動が行われています。

中央海嶺と地磁気の異常の縞模様

 中央海嶺は、「海底に存在する山脈」のような地帯といえます。1960年代に大西洋海底の調査が行われ、その中央に存在する山脈のような高まりが確認され「大西洋中央海嶺」と名付けられました。

 海面下に存在するため、なかなかイメージしにくいと思いますが、調査の結果下図(大陸・縁海・島弧・海溝・海嶺系の図)のようになっている-と思われます。 

 その後東太平洋海膨(かいぼう=海嶺ほど斜面が急傾斜ではなく、ゆるくて平滑な斜面からなる)、太平洋-南極海嶺など七つの海の底に海嶺が存在することが分かって来ました。

 海嶺では玄武岩溶岩の火山活動が行われており、大陸の分裂に伴い新たな海底が形成される所ではないかと考えられました(海底拡大説)。


  海底の磁気測定を行ったところ、地磁気の異常が海嶺を中心に左右対称に配列していることが分かりました。
 


  正の異常を示す部分=現在の地磁気の向きと同じ向きに海底が磁化されていて、強い磁力が測定された部分。
 
 負の異常を示す部分= 現在の地磁気の向きと反対の向きに海底が磁化されていて、弱い磁力が測定された部分。

 このような地磁気の異常の縞模様は海底拡大の証拠となっており、更に海底地殻の絶対年代の測定から海底拡大の速度が求められています(1~10cm/年)

プレートテクトニクス(plate=岩盤、tectonics=地質構造論)

 地球は20枚近くのプレートに覆われ、プレートの運動やプレート同士の衝突などによって造山運動が行われたり、マグマが発生して火成活動が起こったり、地震が発生する-という考え方です。

 プレート(リソフェア=lithosphere=球殻状の岩盤、litho=岩石、岩盤、固い。sphere=球面)=地殻と冷えて固くなった上部マントルの一部。地球は20枚近くのプレートに覆われています。
 

アセノスフェア(ascenosphere=プレート(リソフェア)の下の高温で柔らかく流動性のある部分。asceno=高温の)地震波を遅く伝える「低速度層」。アセノスフェアに対流が起こり、その上にあるプレート(リソフェア)が移動します。

プレートの三つの境界

 

 プレートの生成がおこり、海底の拡大がなされます(それに伴い+地磁気の異常の縞模様が生じます)

 

 アイスランドは、大西洋中央海嶺が海面から島となって現れたところです。そこでは北米プレートとユーラシアプレートが生産され左右に拡大しているところになります。
 「大西洋中央海嶺」ですから海洋プレートかと一瞬思ってしまいますが・・。

 写真の谷間が「ギャウ」または「ギャオ」でプレートが生産され盛り上がってできた地球の「裂け目」になります。写真の方位は示されていませんが、もし南から北を向いてこの写真が撮られたものとすると、谷(人が歩いている)の左手は「北米プレート」、谷の右手は「ユーラシアプレート」-しかもできたばかり(と言っても何10万年も前でしょうが)-ということになります。プレート境界を目の当たりにする-何かすばらしいことですね。

 プレートのすれ違いが行われ,浅発(震源の深さ<100km)小地震の発生。横ずれ断層。 
  A-B、C-D、E-Fは葛籠折れになっている海嶺。


 C-B間、D-E間だけはプレートの移動方向が正反対で、その間では摩擦が生じ,浅発小地震が発生します。
  
 横ずれのこの断層C-B、D-Eを「トランスフォーム断層」と呼びます。(意味としては、変形横ずれ断層」と思って差し支えないです。)

 

横ずれ断層の「右ずれ」,「左ずれ」の判定の仕方
 


 上図のように

①断層面に対し、正対します。

②(自分は動かないものとして)相手側の地盤が左右どちらに動いたか-を考えます。 

 この図で、ひとみちゃんが反対側の海嶺AB側に立ったとしても、トランスフォーム断層C-Bは、「左ずれ断層」。

 前の図(ひとみちゃんがドローンのようになって飛んでいる図)の,トランスフォーム断層 D-E は右ずれ断層となります。 

 プレートの消滅が行われ、地震が発生・場合によっては津波が発生し、マグマの形成と火成活動、変成作用がおこなわれます。



大陸・縁海・島弧・海溝・海嶺系と変成作用、マグマ発生の関係

(原図 Chigakukyousitu)

 大陸・縁海・島弧・海溝・海嶺について以上の図に表しました。日本列島付近の理解とするならば、

 「海嶺」=東太平洋海嶺

 「海溝」=日本海溝あるいは伊豆・小笠原海溝

 「大陸」=ユーラシア大陸

 「縁海」=日本海(沿海という言葉がありますが、大陸の「縁(ふち)」の海。)

 「島弧」=日本列島

  と見て差し支えありません。(変成作用についてはサブページNo.13で解説します)

 

深発地震面の傾斜


 海溝からプレートの沈降方向に向かい深発地震(面)が傾斜しているのがわかります。深くなるほど、M6以上の地震の発生が少なくなっています。

 EarthSystem2016_5より引用(http://www.es.tohoku.ac.jp)

 

ホットスポット、プレートの移動速度の求め方

 ホットスポットは、プレートの下に固定された玄武岩マグマを定常的に供給する地点で、図-Aのように海洋プレート下に多く存在します。

 

 

 まー君がホットスポットから生まれた火山島だったとしましょう。プレートの上に乗ったまま成長。そして6年が過ぎると

 この6年間に、プレートは向かって左に120km移動している。

 と言うことは、

 
 プレートの移動速度Vは

 V=120km÷6年

  =20km/年 
 
  ということになります。

 もう少し、詳しく見ましょう。

図-A  図の赤い○印がホットスポット

(図-A~Cはアメリカ地質調査所( United States Geological Survey; USGS)のHPによります。)

 ハワイ島はホットスポットの一つで、そこで作られた火山島は東太平洋海嶺で形成された太平洋プレートの上に乗った状態で、西(日本列島方面)へ移動していきます。図-Bは、ハワイ ホットスポットの立体概念図で、向かって右端の断面が見えているところがホットスポットであるハワイ島。その左から、マウイ島、オアフ島、カウアイ島と西に向かい、島列をなしています。


図-B
 ホットスポットで形成された火山(島)は、ハワイ島から離れているほど時代的に古いことにななります。

 

図-C

 図-C (b)plain (平面図)は、ハワイ島から離れているカウアイ島が、他の火山島より時代が古いことを矢印をもって示しています。

 ハワイ島からの、マウイ島、オアフ島、カウアイ島までの距離そしてそれぞれの火山島形成の絶対年代(今から何年前というように)分かれば、太平洋プレートの移動速度を求めること出来きます。

 以下のデータは(図-D)、火山島のハワイ島からの距離測定は「新版 ベーシックアトラス 世界地図帳 平凡社 2012年3月21日初版第一冊」を用い、ハワイ諸島の火山の年代測定結果については、Yamamoto Lab | Graduate School of Life Sciences, Tohoku University から借用しております。

  ハワイ島 マウイ島 マウイ島 カウアイ島
ホットスポットからの距離 0km 220km 380km 500km
絶対年代(今から何年前に形成) 40万年前 130万年前 300万年前 580万年前

 上の表のデータをX(火山島の形成絶対年代)-Y(ホットスポットであるハワイ島からの距離(km))座標に表すと以下ののようになります。

 上図は、ホットスポットで形成された火山島の年代と移動距離の関係を表しており、海底拡大=プレートの速度を求めることが出来ます。データは少ないですが、図のようにグラフの折れ曲がりがそれほど大きくないのは、海底拡大=プレートの速度はある程度均一であったと言えます。そこで、 No.4 地震 のページで示された「み・は・じ」の公式から、

海底拡大=プレートの速度を求めてみましょう。

 マウイ島~オアフ島間のプレートの移動速度:(Vmo)=みちのり÷じかん

    =(ハワイ島~オアフ島間の距離:380km-ハワイ島~マウイ島間の距離: 220km)✕10cm÷ (300万年-130万年)=9.4cm/年

 少し乱暴な計算になりますが、オアフ島を「飛ばして」マウイ島~ カウアイ島の

データを使って プレートの移動速度を計算すると、(Vmk)=(500- 220)✕105cm÷ (580-130)万年

    =280/45cm/年

    =6.2cm/年

 いずれにしても、本ページの「② 地磁気の異常の縞模様」に示されているように、プレートの移動速度(海底拡大の速度)は 1~10cm/年 程度で小さいです。

 しかし地球の悠久な営みから、巨大な地震活動や変成作用・火山活動を伴う造山運動を惹起することを忘れてはならなりません。

世界の地震の発生する場所

(2013理科年表、丸善出版、世界地震分布図によります)



 地震は地層やプレートに歪みが生じ、破壊が生じることから発生します。本HPのサブページNo.4地震で説明したように、世界には地震を経験したことのない人もいます。

  上図は過去に発生した地震(マグニチュード4以上、1975年~1994年)を地図上にプロットしたもので、「地震の発生する場所は帯状で限られている」ことがわかります。

 すなわち、プレート境界部分=①海嶺(プレートの形成)、②トランスフォーム断層(プレートのすれ違う場所)、③海溝(プレートの消滅)に集中しています。

 最も多く発生する場所は太平洋を取り巻く一帯で、「環太平洋地震帯」と呼ばれています。
この地域から放出される地震エネルギーは世界の地震エネルギーの3/4以上を占めています。
 また、マグニチュード8の巨大地震の発生もこの一帯に集中して発生しています。
 この図を見て分かるとおり日本列島はプロットされた点でその姿形が見えない状況です。

 日本付近で発生する地震から放出されるエネルギーは、「環太平洋地震帯」から放出されるエネルギーの10%を占めており、いかに地震が集中して発生しているかが理解されでしょう。

 このような現実を突きつけられ、わが国に原発を設置し稼働させることに疑問を感じない人はいないでしょう。

 次に地震が多く発生する場所は、インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに沈み込みヒマラヤ山脈を形成している地帯で、世界の地震エネルギーの1/5以上を放出しています。

 

海洋地殻の年代

 

 海嶺で形成された海洋地殻は1~10cm/年の速度で左右に広がっていきます。したがって、海嶺近くの海洋地殻の年代は新しく、海嶺から離れた海洋地殻の年代は古いものとなるはずです。「年代が古くなる」といって、際限なく古くなるものではありません。海洋地殻(≒海洋プレート)は海溝で沈み込み、消滅してしまいます。また巨大大陸の分裂開始・移動の地質時代も海洋地殻の年代に関係してきます。

 下の図はChristopher Scotese et al (1988)「Plate tectonic reconstructions of the Cretaceous and Cenozoic ocean basins」、 Tectonophysics 155より引用・加筆したものです。


 

 図は海洋地殻の絶対年代を測定し、年代ごとにハッチ(文様)で示しています。東太平洋海嶺付近とハッチの無い「海洋地殻①」の絶対年代は190万年前~2300万年前、第四紀~古第三紀末期となります。
 また黒っぽく横縞状に見えるハッチの「海洋地殻②」の絶対年代は1億1190万年前~1億4300万年前、白亜紀からジュラ紀となります。   最も古い海洋地殻は2億年前と言われています。

 


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