No.15 地表の変化と物質循環


1 風化作用(weathering)



 岩石(鉱物)は、長い年月の間に日光によって加熱されたり冬期には冷却されたり、あるいは雨水の凍結膨張、二酸化炭素を溶かし込んだ酸性の雨水などによって、物理的・化学的に破壊・溶解され変化していきます。この変化の過程を「風化(風化作用)」(weathering )といます。

 簡単に言えば、ひとかたまりだった鉱物・岩石・地層が、砕かれて細かな泥や砂、礫(れき)あるいは水に溶けて最終的に海に運ばれる-ということです。
 海に運ばれた泥や砂、礫は長い年月を経て、再び固結(固化)し堆積岩として物質循環するということになになります。


風化作用  
機械的風化作用 水の凍結膨張、樹木の根の成長などによるもので、寒帯地方、寒暖差の大きい大陸内陸部で進行します
化学的風化作用 加水分解、溶解、酸性の雨水によります
たとえば水に二酸化炭素が溶解すれば弱酸の炭酸になり、鉱物や岩石を溶解します
HO+CO →HCO(炭酸):温暖、湿潤の熱帯地方で進行します

鍾乳洞の形成

 

 

 石灰岩の主成分は炭酸カルシウム:CaCO 。二酸化炭素を溶かし込んだ酸性の雨水により、次の右に向かう化学反応によって溶解し鍾乳洞が形成され、左に向かう化学反応によって鍾乳石、石筍(せきじゅん)が形成されます。(cf.トップページ

    CaCO + HO + CO ⇔ Ca(HCO


 (お断り。この地図は、Yüksel Halecek社提供パンフレットの地図を一部使用・加工しています。)


 石灰棚は地表に出来た鍾乳石のようなもの。パムッカレ地方(トルコ)は石灰岩が発達し、温泉水が湧き出しています。実際水(お湯)の溜まっているところは暖かく、近くには地熱発電所も設置されています Ca(HCOが温泉水に溶けており、石灰岩を溶解し、CaCO +HO + CO↑ の反応で石灰棚が形成されます。
 パムッカレ(Pamukkale)はトルコ語で「綿の宮殿」という意味す。

 

 

(お断り。この古地理図は「地図出版社 中国・北京」 「中国古地理図集」、中国地質科学院地質研究所武漢地質学院 
1985年 中国第四紀氷川遺跡分布図を一部使用・加工しています。)

 中国大陸のほぼ中央、北緯32度、東経102度に位置する石灰棚。歩道が整備されており、麓(標高3199m)から約2時間かかって美しい「五彩池」(標高3553m)に到着します。写真のような石灰棚の池は、大小あわせておよそ3400。

 「五彩池」近くには黄龍後寺のお寺が設置されていいます。(写真は2006年8月)

 

 黄龍は、下位の地層が中部石炭紀のマクグネシウムに富む石灰岩、上位の地層がチャートを含む石灰岩からなり(黄龍統)No.14地質年代区分と古生物のページで学んだフズリナの化石を含みます。

新生代になって一帯が上昇して、石灰棚が形成されるようになりました。

 

 

 

 雨水、地下水に二酸化炭素が溶解するといわゆる「炭酸水」になり、弱酸性を示します。これが石灰岩と反応すると「溶食作用(岩石・鉱物を溶解して浸食する働き)」を働き、カルスト地形を形成することになります。例えば、山口県秋吉台。
 

 写真は、龍泉洞のある岩手県岩泉町の北、約10kmの岩泉町江川にある「ドリーネ」です。浸食によってお椀状に浸食され、くぼ地が形成されたものですが、現在では樹木が生育してその形状が明瞭にはわかりません。

 周囲は牧草地、手前は草丈の高い藪となっています。

 

2 流水(河川)の三作用

流水(河川)の三作用は

(1)侵食作用、(2)運搬作用、(3)堆積作用の三つです。

(1)侵食作用  ◎侵食力は流速の2乗に比例する

侵食作用  
下方侵食 川底を削る →上流で行われ、V字谷が形成されます(No.10活火山 千尋の滝
側方侵食 川幅を広げる→主に下流で行われ、河川が蛇行したり、三日月湖が形成されます。
(北海道 石狩川下流など)

 

 

 千尋の滝:霧島屋久国立公園

 あたかもコンクリートでこしらえたかのようなV字谷です。屋久島の名瀑。落差80メートルの滝で日本最大級、河床は花こう岩(1400万年前の貫入)。
「尋」は長さの単位で、一尋の長さは人が両腕を広げたこの長さ。千人分の幅があることから名付けられました。

 

ルクソールに向かう飛行機から見たナイル川の蛇行。川の両岸の一部だけが緑で、その外側は砂漠ニなっています。

 

川の蛇行の跡。砂漠化して植物は何もありません。左右にハイウエイが走っています。(ナスカ:ペルー)

(2)運搬作用  ◎運搬力は流速の6乗に比例する

「◎侵食力は流速の2乗に比例する+◎運搬力は流速の6乗に比例する」のおぼえかた。(あまりいい気はしませんね。)

(3)堆積作用    
 運搬作用は、流速の6乗に比例するので、河川が山間から平地に出るところでは流速が急激に衰え運搬力が低下し扇状地(fan)が、同じように河口付近では三角州(delta)が形成されることになります。

 

 ナイル川の三角州は世界最大級の大きさで、上流から肥沃な土壌をもたらし、エジプト文明を開花させている。地図を見てわかるように、下流付近では細かく蛇行していることがわかります。(地図は Farid Atiya Press 1:2000000 EGYPTの一部を使用しています。)

 

 

 

 胆沢川は岩手県奥州市を東北東に向かって流れる川で、これによって作り出された扇状地は国内でも有数の大きさとなっています。扇状地には村落が点在し、穀倉地帯となっています。

 

 

 

3 砕屑物の粒径と運搬・堆積の関係 

 

砕屑物(さいせつ:砕かれて粉々の屑状になった-の意)。砕屑物は粒径の大きさで泥、砂、礫(レキ)に区分します。

つまり

 

砕屑物 粒径
<2-4mm
2-4mm~2mm
礫(レキ) >2mm

 

 わざわざ指数で書いたのはわけがあって、「砂のサイズは、砂はイ・シから」と語呂合わせで覚えようということなんです。

 それにしても2mm以上でレキというのは少し合点が行かない人もいるでしょうね。

 それから、「泥」は中国甘粛(かんしゅく)省の地名だったそうで、それが泥土の意味になったそうです。泥の中には風化されて様々な粘土鉱物が含まれますが、化粧品に使われています。ま、顔に泥をを塗っているんですね。

 

砂の顕微鏡写真。ほとんど石英の粒子です。

 

 高校球児あこがれの甲子園球場。阪神甲子園球場一塁側ベンチ前の砂です。調べてみると使用している砂は国内のほか、中国からも取り寄せているらしいです。春のセンバツ、夏の選手権大会で砂や黒土の配合を変えてボールの見えやすさを変えているんだそうです。いろいろ工夫しているんですね。

 

砕屑物の粒径と運搬の関係

 

 

 

 

 水路に礫、砂、泥を配置して静かに水を流し始めます。最も遅い流れで動き出すのは砂。泥は「体重」は小さいが、体が小さく水の圧力を受けにくい。礫は「体重」があり、ある程度の水流には耐えられということです。

 しかし、砂は泥より体は大きくその割には「体重」ない。そこで水流の速さを変えながら、様々なサイズの砕屑物が運搬され始める関係を調べると、大雑把には次のような関係になります。

 

 

 

 

 泥や砂・レキガ流水に流されてきました。さて、砕屑物の大きさと堆積し始める(とどまる)流水の速さの関係はどうなるでしょう。それが前の話とは違うんですね。体重の順に自分の場所に座るんです。つまり「小さい(泥)あんたは、あっちに行け!」飛ばされるんですね、わたしのように。

 

 

 

 このことから

 ①礫は運搬されにくく、すぐ堆積する-こと。

 ②砂は運搬されやすく、礫に次いで堆積しやすい-こと。

 ③泥は運搬されにくく、堆積しにくい-こと。泥は大洋を駆け巡る。

 ということが言えます。

 

沿岸流の働き

 

 沿岸流の働きによっては、浸食作用によって切り立った鋭い崖の海食崖(かいしょくがい)や波蝕台 、堆積作用による砂嘴、砂州、陸けい島などの地形が形成されます。

 

氷河の働き

 

 年々蓄積された雪が圧縮され、氷となったものが氷河(glacier)。大陸に大規模に発達した氷河を「大陸氷河」。高山の頂上付近に発達した氷河は「山岳氷河」

 日本列島を覆い尽くすような氷河は発達したことはなく、日本アルプス、北海道日高山脈に氷河地形が見られます。
 日本の最高峰富士山に氷河地形が見られません。課題研究として調べてみてはどうでしょう?

ユングフラウヨホ:top of europe 、ヨーロッパの最高点と称しています。 sphinx(の形に似ている)という観光・観測所があり晴れればヨーロッパアルプスの山並みや氷河(アレッチ氷河)の風景を堪能できます。(おことわり:写真は Rud .Suter AG. Oberrriden/Zurich 作成による絵はがきです。) 北海道日高山脈 北トッタベツ岳(正面中央)直下に発達する「七ツ沼カール」(右側)白く見えるのは残雪、黒く見えるのは「七ツ沼」のうち三つの沼。7月下旬。

   ↓十勝ポロシリ岳    ↓札内岳             ↓エサオマントッタベツ岳     ↓カムイエクウチカウシ山

 日高幌尻(ヒダカポロシリ)岳(2052m)からの南望。エサオマントッタベツ岳の頂上直下に残雪が見え、ここはエサオマントッタベツ岳の北東カール。中央の深い谷は新冠(にいかっぷ)川

 北海道の山々は緯度が高いため、標高が低くても森林限界がとても低くなっています。特に日高山脈は車の入れる林道が発達していません。また登山道・案内表示も未整備でヒグマなどに遭遇する危険もあり、日高山脈への登山は困難を極めます。

 十勝ポロシリ岳(1846m) 、札内岳(1895m) 、エサオマントッタベツ岳 (1901m)、カムイエクウチカウシ山(1979m)


JUNGFRAU REGION

 

 図は、スイス・レマン湖の東約60kmにある2つの湖ブリーンツ湖(BRIENZE SEE)とトウ-ン湖(THUNER SEE)、アイガー(Eiger,3970m)、メンヒ(MÖnch,4099m)、ユングフラウ(Jungfrau4158m)(以上の三つの山をオーバーランド三山)を示しています。スイスと言えば、マッターホルンが有名ですが、マッターホルンはこの三山のほぼ南約60kmに位置しています。


 この図は一般の地図とは異なり、およそインターラーケン(無理に直訳すれば「池の中央」)の北・上空から南を眺めた様子を表しています。

 スイスは12年の歳月を費やし、標高600mから3500mまで登山電車を敷設。JungfrauとMÖnchの鞍部(標高3454m)に「Jungfraujoch」(登山鉄道終点駅)を設置しすると共に、スキー(エリアの広さはおよそ10km✕5km、標高差1700mのダウンヒル、日本では最も大きい規模スキー場が志賀高原スキー場。隣の竜王スキー場とあわせても及ばないのでは?)、観光に力を注いでいます。

 標高が3454mの地点に「ベルグ ハウス(山荘)」があり、文字通り「Top of Europe 」であるのですが、Chigakukyoushitu一団が旅行した際は天候が不良で何も見えなかったのが残念。On season にぜひとも行ってみたいところです。

 インターラーケン東駅からユングフラウヨホまでの道のりは以下のようになります。

 Interlaken Ost駅→ベルナーオーバーラント鉄道→Lauterbrunnen駅→乗り換え→ヴェンゲルンアルプ鉄道→Kleinescheidegg駅→ユングフラウ鉄道→Jungfraujoch駅

 ただし、運賃が高いので(約往復2.5万円ほど)ツアーで行くのが良いと思います。

 

 

 

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