下は理科年表(国立天文台編H25年)のデータを素に、大気の気圧・気温と高度の関係をエクセルを使ってグラフ化したものですが、どう操作しても教科書のように高度が縦軸の図がかけず、三枚目の絵となりました。
上の図 縦軸=気温(℃)、横軸=高度(km)
上の図 縦軸=気圧(hPa)、横軸=高度(km)
(注意:図の背景、成層圏~中間圏に雲が描かれていますが成層圏~中間圏に雲が浮かぶことはありません。単なる背景として見て下さい。気温変化の白色の折れ曲がり線、四つの圏を区分けする高度、温度は作図上不正確になっています。あらかじめご承知おき下さい。)
上の図から、20km上空で気圧が264hPa。
地表で1013hPaなので、地表から20km上空には差し引き1013hPa-264hPa=749hPa分の大気が存在します。
つまり、上空20kmまでに、749/1013✕100%=74%の大気が存在すること、乱暴ながら考えて良いことになります。
ところで、地球の半径は約6400km。この半径に対して、74%のもの大気がわずか20kmの厚さしかなく、地表に張り付く薄いベールのような存在であることが諒解されます。
それだけに、排煙や車の排ガス・二酸化炭素濃度の上昇、PM2.5の濃度の上昇は、地球環境の悪化を進める以外の何ものでもないですね。
大気の組成
窒素=N2 | 酸素=O2 | アルゴン=Ar | 二酸化炭素=CO2 |
---|---|---|---|
78% | 21% | わずか | わずか |
地球創成時の原始大気は二酸化炭素、窒素、メタン、アンモニア、水素等と考えられており酸素は含まれていませんでした。酸素は、35億年前頃出現したラン藻(二酸化炭素を利用し、光合成を行う No.14 地質年代区分と化石・古生物)により、後生的に作り出された気体です。
酸素が増加することによって、海中の鉄イオンは酸化され「縞状鉄鉱」
(20~25億年前)が形成されました。(写真は鉄鉱石(縞状構造が見られる)21億年前、アメリカ・ミネソタ州、国立科学博物館)
海水に溶け込んだ酸素を利用してエネルギーを取り出す新しい型の生物も出現しました。
余分な酸素が大気に少しずつ蓄積されるようになると、酸素からオゾンの形成が進むようになり、地表への太陽から降り注ぐ紫外線の除去が進み生命が上陸できる環境が整うこととなりました。
先ほど述べたように、地球の半径からすれば、大気の「厚さ」は極めて薄いのです。この極めて薄い大気に酸素が満たされるまで、実に気の遠くなる時間が費やされていること、そして宇宙の・地球の営みの悠久なることを感ずるとともに、地球環境を守って行かなければならないと思うのは私だけではないでしょう。
上の図、対流圏・成層圏・中間圏・熱圏・外気圏(または)というように五つに区分されています。これは、高度に対する気温の変化によって区分しています。
・大気の約80%が存在する
・気温減率=0.65℃/100m :「対流圏では高度100m上昇すると気温が0.65℃下がりますよ」ということです。
たとえば、ある日あるところで以下のような高度で気温が測定されたとします。
高度 | 0km | 12km |
---|---|---|
気温 | 15℃ | -57℃ |
このデータから気温減率を求めてみると、
気温減率=(-57℃-15℃)÷(12000-0m)=-72℃÷120✕100m=0.6℃/100m となります。
計算練習の問題として(気温減率=0.65℃/100m)
東京 :標高 0m、気温30℃だったとすると、
不二山(標高3800mの不二山という山があったとして)
:不二山頂上の気温を求めると、
30℃-(3800m÷100m✕0.65℃)=5.3 ℃
「富士山頂の気温」
上の計算で見たとおり、東京で30度でも標高3800mでは5.3 ℃となります。
富士山の7月の平均気温は4.5℃、10月の平均気温は-3.9℃、1月の平均気温は-18.5℃(家庭の冷凍庫の温度:前出
気温が5℃以下ではみぞれ・雪が降る場合があり、7月の富士山登山といえども、セーター・手袋などの防寒対策、雨やみぞれで体を濡らさないゴアテックスなどのカッパの準備が必要となります。
対流圏と成層圏との境界を圏界面。中緯度付近ではここに西から東向きに蛇行しながらジェット気流(風速最大100m/秒)が吹いています。圏界面の高さは大気の膨張・収縮からその高さが変化し、赤道付近=16~18km、極付近=6~8kmと異なる。(cf. No.18 転向力(コリオリの力)、地衡風・地衡流 2 地衡風・地衡流の付図)
対流圏は、上空ほど気温が低い(=密度が大)。地表で暖められた空気塊は密度が小さいため上昇して行き、雲が発生し降雨・降雪など気象現象が起きます。
写真は、圏界面付近を日本海に向けて飛行中。下には雲が発達しますが上空は成層圏、雲はできません。紺碧の空が広がっています。
冷たく重い大気は下に、暖かく軽い大気は上に「成層」しているので対流は起こりません。
高度が高いほど気温が高いのは、オゾンが紫外線を吸収するため。上の「気温、気圧の高度分布」の図において、オゾンが存在しなければグラフ(白色の横に倒れたW型の曲線)は「C」を描くことになります。
オゾンがなくなるため気温は高さとともに低下。
流星の消滅する高度
大気(と言っても極めて希薄)の分子運動を温度に換算した結果、高度500kmで726℃
(理科年表(国立天文台編H25年)のデータ、冒頭のグラフ)
ところで、国際宇宙ステーションは高度400kmの熱圏を飛行。気温も高度500km地点とほとんど変わりない。飛行士はやけどをしません。熱さを伝える分子・原子がほとんどない「サウナ」の中にいるような状態だから。
高緯度地方の高さ100~1000kmに発生する発光現象(太陽から吹きつける電気を帯びた粒子(プラズマ)が、地球の大気と衝突して起こる)がオーロラ aurora
。
「オーロラベルト」
オーロラのよく出現する地帯は「オーロラベルト」と呼ばれ、北緯60度付近一帯で、カナダのホワイトホース、イエローナイフ、フェートマクマレー、アイスランドのレイキャビック、フィンランドのサーリセルカなどがあります。
日本でオーロラは観測できる?
(写真は、第54次南極地域観測隊 井 智史隊員撮影 出所milsil No.5 2014 vol.7 独立行政法人 国立科学博物館、加工しています)
推古天皇の時代日本書紀にオーロラ(「赤気(せっき)」)が観測されたとの記述があるとのことです。(ウィキペディア)。
どうしても高緯度地方に発生するものなので、緯度の高い北の地方が観測できる機会が多くなります。しかし、毎年見られるというものではありません。
北海道の陸別町は、寒い町・オーロラが見られる町で町おこしをはかっています。「銀河の森天文台」(りくべつ宇宙地球科学館)でオーロラの出現を観測し、同天文台HPにその写真を掲載しています。また、2014/1/30~2/9にはオーロラの本場、カナダ・イエローナイフからオーロラの生中継を行いました。(画像をクリックすれば同天文台にリンク)
「No.17 太陽からのエネルギー供給、熱収支」の章で学んだように、上空では「空気塊には北半球では南から北向きに気圧傾度力、北から南向きに転向力が働き、空気塊は西から東向きに移動する=西風が吹く」ことを学びました。下の図を参照。
大気の循環:図-1
回転する物体上(=地球)で、運動する物体の質量をm、物体の速度をv、地球自転角速度をω、運動する物体の位置を緯度θとすると、転向力(F)の大きさは、F=2mvωsinθ (「No.18 転向力(コリオリの力)、地衡風・地衡流」1 「それでも地球は回っている」(ガリレオ・ガリレイGalileo
Galilei) 4枚目の図、参照)
このF=2mvωsinθ の式から、物体=空気塊に働く転向力の大きさは、赤道でゼロ、極で最大となります。
このF=2mvωsinθ の式から、物体=空気塊に働く転向力の大きさは、赤道でゼロ、極で最大となります。
赤道では転向力Fはゼロなので、赤道表面付近で暖められた空気塊は密度が小さくなり上昇します。
(下の図の①~②)圏界面付近に達し、空気塊は極へ向かう(③)。赤道では(θ=0、転向力Fは0)であるので、ある程度北に向かうまでは、進行方向に向かって右寄りの力=転向力を大きく受けることはありません。
空気塊は、次第に冷却されるとともに、転向力を次第に大きく受けて西から東向きの風(「偏西風」)となります。(④~⑤)冷却により、空気塊は次第に密度を増し、北緯30度付近で地表に向かい下降します(⑥~⑦)。ここは上空から空気塊が絶えず降り積もることになり、「亜熱帯高圧帯」を形成することになるわけです。
地表を赤道(南)に向かって吹き出した風は、転向力(進行方向に向かって右寄り、東→西)を受け、「北東貿易風」となります(⑦~⑧)。赤道付近に近くなると(⑨)、転向力は小さくなり東寄りの風の成分は小さくなります。
このような大規模な循環を「ハドレー循環(George Hadley 1735年)」と名付けられています。
大気の循環:図-2
上の図は分かりにくく、補足的にもう一枚、「ハドレー循環」を理解するための模式図を書いてみました(下図)。空気塊の加熱・冷却による違いを色で表しており、空気塊に働く転向力の大きさの違いによる空気塊の運動の違いを図示したつもりです。
大気の循環:図-3
上図のピンクの↑で表される場所(ほぼ海域)は、上昇気流が発生する箇所で、大気が上空へ持って行かれる」ため地表では大気の「重み」が失われる「気圧の低くなる一帯」=「赤道低圧帯」となります。
中緯度(30~60度)での大気の循環は、ハドレー循環の様相とは異なってきます。緯度が上がることによって空気塊が転向力(F=2mvωsinθ、緯度θ)を大きく受けることと、空気塊が太陽から受け取る熱エネルギーが変化すること-によります。
中緯度(30~60度N)では下の図(大気の循環:図-4)のように、上空の偏西風は南北に蛇行を繰り返す形をとっています。
大気の循環:図-4
「大気の循環:図-1」に示されるように、圏界面は赤道で高く、極では低くなっています。従って、偏西風の蛇行曲線は地形図の等高線と同じように考えて良いわけです。上図の二本の蛇行曲線のうち、南側(低緯度)は北側(高緯度)の曲線より「標高」が高いことになります。 それ故、上図の太赤線で示された箇所は地形的には「尾根」となり(=ここを「気圧の尾根」)、上図の太青線で示された箇所は地形的には「谷」(=ここを「気圧の谷」)となります。
「No.17 太陽からのエネルギー供給、熱収支」 の4枚目の図から分かるように、北極では、春分から夏至を経て秋分まで、太陽が1日中沈むことなく低い高度で輝く一方(白夜(びゃくや))、秋分から冬至を経て春分まで、太陽は1日中輝くことはありません(極夜(きょくや))。
半年白夜でも、太陽は低い高度。しかもあと半年は極夜。したがって、緯度にして66.6度以上の高緯度地域は太陽からのエネルギーを受け取られない「極寒」の地帯となります。極付近で、地表に触れた大気は冷却され密度を増して下降気流となります(下図 青色矢印)。冷却された大気は南に向かって流れ出します(下図 水色矢印)。転向力を受けるため東寄りの成分を強く持つ風となるとともに、次第に暖められ上昇します(下図 黄色矢印)。圏界面付近に達し、極へ向かう大気は転向力を受け、西寄りの成分を持つ風(下図 斜線矢印)となるとともに次第に冷却され、下降する-という一つのサイクルが構成されます。
下の図で、水色矢印→青灰色矢印→黄緑矢印 の大気の動きは、「No.18 転向力(コリオリの力)、地衡風・地衡流」 一枚目の図、「ロケットの動き」と同一であることに気づきますね。
上の「水色矢印→青灰色矢印→黄緑矢印」の大気の動きは「極偏東風」または、「極東風」、また緯度60度付近で上昇気流を構成する一帯(下図 黄色矢印)は「亜寒帯低圧帯」または、「高緯度低圧帯」とよばれます。
大気の循環:図-5
大気の循環:図-5 で ひとみちゃんの視線方向から、極付近の大気の循環を模式的に描くと下の図のようになります
大気の循環:図-6
天気予報で「「気圧の谷」が近づくので、天気は下り坂となるでしょう」そのように解説を聞くことがあります。
「気圧の尾根」の東側には「高気圧」が発生し、「気圧の谷」の東側には「低気圧」が発生します。
その仕組みの説明はやや複雑なのでここでは行いません。「気圧の尾根」、「気圧の谷」が6つ、8つあれば天気は周期的に繰り返されることが了解されます。
大気の循環:図-7
また上図のように偏西風が南北に蛇行することによって、北に向かうときにはエネルギー(暖かさ)が高緯度へ輸送され、南に向かうときにはマイナスのエネルギー(冷たさ)が低緯度に輸送されることになります。
「No.17 太陽からのエネルギー供給、熱収支」のページで、太陽からのエネルギーの緯度別収支では、緯度およそ37度を境としてより高緯度ではエネルギー不足に、より低緯度ではエネルギー過剰になることが示されていました。以上ここまで示されたような、複雑な大気の循環によってエネルギーの輸送によって地球全体が「そこそこ」に暖まっていることになるわけです。
以上、三つの大気の循環を子午面で見た場合(=鉛直面に投影した時の大気の循環)、下の図のようにまとめられます。緯度別の大気が、エネルギーを「リレー」のバトンを受け渡すような仕組みになっていること、大気の上昇帯・下降帯の形成によって比較的天気の良い高圧帯、天気の悪い低圧帯が形成されていることが分かります。
(子午面の「子」「午」は十二支。子は北、午は南の方角のこと。「正午」は太陽が真南に来たお昼ということ。)
大気の循環:図-8
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