No.23 日本の天気の特徴



 中尊寺:金色堂
おことわり:写真は「浄土平泉紹介パネル」(一部)によります
 中尊寺金色堂に使用された金は漂砂鉱床(砂金)であったこのことについて、現在調べております。今のところ、Chigakukyoushituが分かっていることは、一関市東山町田河津(ひがしやまちょうたこうづ)の「横沢金山」(跡)、同じ田河津地区の「矢ノ森金山」(跡)が中尊寺金色堂に関係が深いようです。今後、記事を追加の予定です。
  
 その後の金色堂の金
 岩手県埋蔵文化センター所報(No.105)(注:発表年月不明)において、「金色堂に使われたという八鉢金山(住田町)や今出山金山(大船渡市)、玉山金山(陸前高田市)など」と当時の平泉世界遺産推進室室長補佐八重樫忠朗氏はのべています。八鉢金山、玉山金山は接触交代鉱床で、先の、漂砂鉱床(砂金)とは全く異なることになります。
 
 佐渡の金
 金は3000年前の古代エジプト時代から、金属の有用性、貴重な性質が認められ、権力者によって支配され一般人民の所持は禁止されていました。エジプト、BC14世紀頃の「ツタンカーメン王の黄金のマスク」は誰でも知っていますね。
 日本では8世紀に金の産出が始まり、11世紀~12世紀の奥州藤原氏の時代に「平泉黄金文化」は絶頂を極めました。中尊寺金色堂に使用された金は漂砂鉱床(砂金)であったといわれます。砂金のハイマート(出所、元々は火山活動、変成作用に伴う熱水鉱床の産物)はどこなのでしょうか、調べるおもしろさがありますね。
 前置きが長くなりましたが、写真は佐渡の「史跡 佐渡金山」資料館。12.5kgの金塊がケースに収められており、片手で持ち上げることが出来ません。
 「さて、ここで問題。金は展性(薄く伸びる性質:金箔が出来る)、延性(細く伸びる性質:金糸が出来る)に富みます。この12.5kgの金を用いて、金糸を作るとしたらその長さはいくらになるでしょう?正解の人には500点。
 (日本列島の北から南、はるかに超えるとんでもない長さになります。金1gから金糸2.8kmができるそうです!計算して下さい。)

 イタリア ヴェスヴィアス(Vesuvious)火山とポンペイ(Pompeii)
 ヴェスヴィアス火山はナポリの南東約20kmにある第四紀の成層火山。AD79年8月24日に大噴火が発生、30km離れたポンペイの町(当時の人口約1万人)は火砕流、降下軽石、火山灰で埋没しました。
 18世紀から発掘が行われ、現在に至っています。写真はポンペイの遺跡と、後方にヴェスヴィアス火山1281mが見えます

(永沢義嗣氏 「天気図を考える」高校通信 東書 No.307 1990.11.1より借用(一部)) 

 ドイツの気象学者 ブランデス(H.W.Brandes)が1783年3月6日、初めて天気図を作成した-と言われている。彼は「・・・(作られたこの)図は教訓に満ちたものになる。」と述べて、天気予報の可能性を確信していたそうです。

 日本人に限らず、今日この後外出する際の天気、明日の天気、一週間後の天気、一月後の天気・・・、はたまた、来年一年間の天候まで知りたいと思っています。
 外出する際に、服装をどうするか、傘は必要か。
 一か月後の何らかの式典に、どのような天候への対策を行えば良いか。
 来年の農産物の作柄の見通し、食品・衣服・電化製品の製造計画策定・店舗での品揃え・石油・ガス等エネルギーの需要の見通しと輸入量の調整・・。
 「雨で、ぬれて困る」という個人の世界から、全世界を巻き込んだ経済までを取り込むのが、まさに「天」「気配」と言えるのではないでしょうか。

 中学校の時、日本は気候区分で温暖湿潤気候に属することをまなびます。気温の変化が大きく、降水量の変化も大きいのは何故か。それは、日本列島が東に太平洋、西には日本海を挟んでユーラシア大陸が位置することにほかなりません。
 さて、日本の天気の特徴を説明するに当たって、いつの季節から始めたら良いか?考えてしまいます。
 歌手の松山千春さんの歌「〽巡るー、巡る季節の中で・・」とあるように、季節は巡っているのであり、1年間の中に確固とした季節の始まりや終わりはないからです。
 ただし、二十四節気(にじゅうしせっき)、雑節には立春、春分、立夏、入梅など、これまでの生活の経験から得られた季節の推移から、暦上に「季節」が表示されている-ことはあるにはあるのですが・・・。
 気象予報も長期予報も農業有線放送もなかった時代は暦を見て
ex.『もうすぐ立春だ。田起ししねばねエ。』、

  『まだ早い。山に(雪型の)駒形が出てねなー。』などと。

  そのようにして農業が進められて来たことでしょう。

 「春夏秋冬」で「春」が始まりのように感じされられるが、春は冬から夏への移行の季節で、説明するに難しさがあります。では、「夏」なら?では「冬」なら?・・。考えるほど、際限がなくなります。



 「No.3 地球を構成する物質 」②地殻で学んだように、地殻を構成する元素は多い順にO>Si>Al>Fe>Ca>Na>K>Mg>Ti。O(酸素)、Si(ケイ素)を除いてほかは金属-でした。

 地殻(鉱物、鉱物の集合体としての岩石)はピカピカの金属ではなく、SiO4四面体と金属イオンの結びついたケイ酸塩鉱物となっていましたね。
 金属ほどではないけれども、「暖まりやすく、冷めやすい(冷えに冷える)」といえます。これが日本列島の西に「ユーラシア大陸」として控えています。 
 一方、日本列島の東には「暖まりにくく,冷めにくい」広大な太平洋が広がっています。
 また話が飛んで申し訳ない。マゼランがアルゼンチン東岸を南下し、大西洋から海峡
(後にマゼラン海峡)を通過し新たな海を発見(1520年)しました。波が穏やか(peace:太平、平安)だったためEl Mare Paciphicum (Pacific Ocean 太平洋)と命名しました。ですから「大平洋」ではないんですね。

 「水は温まりにくく冷めにくい」今では博物館にでも行かなければ見られないでしょう。「湯たんぽ」、これにお湯(水)を使うのは上の性質があるからです。お湯(水)の代わりに鉄粉など入れようなどしたら、20分もしたら「湯たんぽ」ならぬ「鉄粉たんぽ」はすぐに冷えて、寒くて目が覚めてしまうでしょう。

 例年3月23日頃(春分)、それまで南半球にあった太陽は、春分点を通過し、北半球に戻り始めます。そして半年間にわたって北半球に多量のエネルギーを降り注ぐことになります。
 そのため、「暖まりにくい」液体の太平洋に対して、「暖まりやすい」固体のユーラシア大陸は相対的に太平洋に対し高温となります。
 ユーラシア大陸中心部では暖められた大気は上昇気流となり、低気圧が発生します。一方、太平洋(N30°付近)では、ユーラシア大陸に対し相対的に低温で、大気は冷却され下降気流となり、高気圧(太平洋高気圧)が形成されます。「南」には太平洋「高」気圧、一方、「北」のユーラシア大陸には「低」気圧が配置することになります。
 それゆえ、天気図上の夏の気圧配置を「南高北低」型気圧配置と呼びます。

 この高気圧(太平洋高気圧)は、「No.19 大気の構造」 ④大気の循環 (1)ハドレー循環で学んだ「亜熱帯高圧帯」の一部であり、定常的に存在する高気圧です。

 この太平洋高気圧は太陽高度が高まる(6月23日頃夏至)につれ、勢力を伸張します。これはユーラシア大陸の低気圧が発達するするためと、赤道低圧帯での上昇気流が強化されるためと考えられています。例年6月23日頃夏至で太陽高度は北半球では最も高まり、かつ昼の長さ(太陽が空に輝く時間)が最も長くなりますが、大陸・海洋が暖まるには当然時間差が生じるわけです。
 梅雨が明け、最高気温が30℃を超える日をもって「夏」とすると、関東地方では7月20日頃(梅雨明け)以降が「夏」としてよいのではないでしょうか。

 太平洋高気圧から吹き出す反時計回りの季節風は、太平洋を渡って来るため水分を多量に含みます。
それゆえ、日本の夏は「蒸し暑い夏」になります。

 

 図-1 

 ところで、「夏」を表す外国語単語は、英語=summer、フランス語=été、ドイツ語=sommer、スペイン語=verano。海を隔てたイギリスとドイツですが、夏を表す単語が似通っていますね。

 

 

 秋を意味する単語、英語=autumn、ドイツ語=herbst 、フランス語=automne 、スペイン語=otoño(オトーニョ)。季節が変わって秋になると、単語の「近所」関係が変わって来ていますね。
 ドイツ語のherbstは、英語のharvestに近く、harvestは穀物・野菜・果物の収穫を、時期的には収穫期≒秋を示しています。おもしろいですね。

 日本列島西にある「暖まりやすく、冷めやすい」「ユーラシア大陸」は、太陽高度が低くなるにつれ、太平洋に対し相対的に低温化するため、ユーラシア大陸上には移動性の高気圧を形成するようになります。形成される高気圧は洋上ではないので水蒸気は含まず、澄んだ青空をもたらします。

 一方、湿潤温暖な「太平洋高気圧」もまだ勢力を保っており両者の間には秋雨前線が形成されます。これが秋の長雨(9月中旬~10月中旬)の原因となります。 
 気温が15度以下に下がって来ると紅葉が始まり、日中の最高気温15度、最低5~6度になると人は暖房をいれる-と言います。
 ある山に積雪が観測されたとき「初冠雪」と言い、富士山と北海道大雪山の初冠雪は大体同じで、9月下旬(27~30日)頃です。

 

 

 

 二十四節気の「立冬」は、大体11月7日頃で「冬の始まり」。そして翌年の2月4日頃の「立春」までが暦の上の「冬」-とされています。
  冬の特徴的な「西高東低」型気圧配置が現れ始め、翌年その気圧配置が崩れる間を「冬」とすると、二十四節気の日付から大体2~3週間程度遅れているようです。
  つまり、「冬の始まり」は大体11月23~27日頃、「冬の終わり」=「春の始まり」は2月14~17日頃、この間を「冬」の季節として良いのではないかと思います。
 「冷えやすいユーラシア大陸」がいかに冷えるのか、グラフにまとめてみました。

 

月別気温平年値°C  11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月
 ojmjakon
(オミャコン)
-35.0 -45.4 -46.4 -42.2 -31.1 -13.5 2.7
Vladivostok
(ウラジオストク) 
-0.9 -9.0 -12.3 -8.4 -1.9 5.1 9.8
ilkutsk
(イルクーツク)
-7.9 -15.3 -17.7 -14.4 -6.4 2.4 10.1
ulaanbaatar
(ウランバートル)
-10.6 -19.0 -21.7 -16.1 -7.0 1.8 10.0
北海道旭川

1.9 -4.3 -7.5 -6.5 5.6 5.6 11.8

 

 

縦軸は温度(℃)、横軸は月です。

冷凍庫の温度は-18~-22°Cであるので、ojmjakon(オミャコン)の気温の低さは相当なものであることがわかります。「外に生の食料を置くと凍るので、暖めるために冷蔵庫に入れる」-という笑い話の世界になってしまう程です。

 ちなみに。富士山頂の4月の月平均気温は-7.9℃。それにしても、恐るべし、ojmjakon(オミャコン)の寒さ。

 ojmjakon(オミャコン)は、稚内のほぼ真北、約2000kmの位置にあります。オミャコンの月別気温平年値が0°以上の月は5月から9月まで、5ヶ月しかありません。10月にすでに-14.5°Cで、「冬」は始まって「真冬」なんですね。

 「冷えやすいユーラシア大陸」では大気が冷却され、下降気流が発生し「シベリア高気圧」が形成されます。この高気圧は、早くも10月中旬に形成され、11月、12月と発達していきます。
 
 一方日本の東には「暖まりにくく、冷めにくい」=海水=太平洋が広がっています。「暖まりにくく、冷めにくい」太平洋は、「冷えやすい固体のユーラシア大陸」より相対的に高温となります。その結果、太平洋上には上昇気流が発生し、低気圧が形成されます。これは日本付近からアメリカ東岸に達する規模のもので、「アリューシャン低気圧」とよばれています。冬期の天気図上には主に西に横綱「シベリア高気圧」、東に横綱「アリューシャン低気圧」が登場し、気圧配置が「西高東低」と呼ばれます(図-2 参照)。

 

 図-2

 日本列島は、「冷えやすいユーラシア大陸」の東に日本海を伴って存在します。この位置関係が、日本の冬の天気を特徴付けることになります。
 すなわち、日本が「ユーラシア大陸」の東に位置し、「シベリア高気圧」から吹き出る風が転向力を受け右寄りに進路を変えながら吹くために寒さの厳しいことが、第一点。第二点は、「シベリア高気圧」から吹き出る風が、日本海を吹き越える際に水蒸気を含み、日本海側の各道府県には大量の降雪を見る点です。(図-3 参照)。

(おことわり。国土地理院地球地図の一部を使用し、作図ソフトを使用し矢印、数字を書き込んでいます。Chigakukyoushitu)

 図-3

 上述の、日本の冬の天気の特徴に関連し、また本HPの「No.20 気団と前線」-2 気団の変質で触れていた「気団の変質」について図-3を基に説明を以下に行います。

 図-3の青矢印は「シベリア高気圧」から吹き出す寒冷な北北西の風を示し、地点①、②、③そして④を吹き渡るものとします。

地点① 
 気温は低いため「飽和水蒸気圧」が低く、北北西の風は乾燥しています。

 「飽和水蒸気圧」は未習事項で、簡単に言えば「空気は温度によって詰め込める水蒸気の量に限界が決まっていて、気温が低いほどその量が少ない(水蒸気圧が小さい)」-ということです。


地点② 
 ここは日本海で対馬暖流が南南西から北北東に向かって流れています。1月の平均海面水温は、能登半島から北緯約37.5°緯線に沿い朝鮮半島まで12℃、秋田(北緯約40°)沖の中部日本海までも8℃前後と高温です。

 「シベリア高気圧」生まれの寒冷(-30℃以下)な北北西の風は、日本海を通過する際、暖められ、同時に「飽和水蒸気圧」が高くなり(沢山水蒸気を含むことが出来る)、「乾燥寒冷な気団」は相対的に「湿潤温暖な気団」に変化するわけです。=気団の変質。水蒸気圧が供給され暖められるために上昇気流が次第にできはじめ、雲が形成されるようになり、ユーラシア大陸沿岸から、日本列島日本海側に向かって「すじ状の雲」が発生します。


地点③

 風は地形に沿って吹きます。日本列島の断面は大まかに言えば、「日本海側に平地-脊梁山脈-太平洋側に平地」となっています。「変質した北北西の風」は脊梁山脈の斜面に沿って上昇します。上昇に伴って、「風」=空気塊は膨張し、膨張するのにエネルギーを使うため、「風」=空気塊の温度は降下します。その結果、再び「飽和水蒸気圧」が低下するため、含みきれない水蒸気は雪(*気温が高ければ雨)となって脊梁山脈(日本海側)にもたらされます。このようにして脊梁山脈を越える時点で「風」=空気塊は乾燥します。


地点④ 
 「風は地形に沿って吹く」ので、脊梁山脈の頂上を越えてからは斜面を下り太平洋側の平地に風が吹きます。頂上から平地へ、「風」=空気塊は下降に伴い圧縮(断熱圧縮)されます。(頂上より平地の方が気圧が高い)*この動きに伴って「風」=空気塊の温度が上昇します。地点④には乾燥した冷たい風が吹くことになります。(*温度が上昇しますが脊梁山脈を越える時点での温度が低いため、暖かさを感じるほどには至りません。)地点③~地点④に示される「風」=空気塊の動きに伴う雲の形成と降雨・降雪、「風」=空気塊の温度の下降・上昇は「フェーン現象」とよばれる現象です(未習事項)。ただ、冬の寒い時期であるため、前述のように暖かさを感じるほどにはなりません。

 

「フェーン現象」(加賀美雅弘著 「気象で読む身体」 講談社現代新書より引用)

 「そもそもフェーン(FÖhn)というのは、初春のヨーロッパアルプスを越えて吹く高温で乾燥した南風を指す固有名詞である。アルプスの北にある低気圧に向かって地中海から大気が流れ込むとき起きる現象である。フェーンが吹くと、気温が上昇するので、北国は一気に春の気配となる。また、大気が乾燥して澄みわたるために、フェーン時には驚くべき視程距離が記録されたりする。アルプスの北、南ドイツのミュンヘンの町からは、普段なら見えるはずもないアルプスの嶺々が、このときばかりは真っ赤に染まる空の下にくっきりと浮かび上がる。フェーンならではの風景である。」

 加賀美氏はこの著書で、津田正夫氏の「チロル案内」を取り上げ、フェーン現象のすさまじさを紹介しています。

 「山にスキーに行って-中略-あたりの人がざわつきだした。『フェーンだ。早くおりなさい。』-中略-

私もスキーをつけて一気に滑りおりた・・・」-中略-「村におりてみると、人々が右往左往している。ホテルでも窓の鎧戸を閉めたり-中略-農家では-中略-家畜を厩舎へ引き入れるので大変な騒ぎだ。

-中略-そのとき突然、今までの北風がパタリと止んだ。-中略-間もなく、こんどは急に暑いとさえ思われるようにむしてきた。-中略-退屈のまま煙草を吸っていたら、-中略-『煙草をおやめください』という。-中略-そのときだ。遠くの方から雷のような音が聞こえてきた。-中略-鎧戸の隙間から外を見たら、さっきまで霞でぼんやり見えていた山が、なんとはっきり見え、山の稜線がくっきり空に映えてみえる。-中略-まるで夏の山のようだなと思っていたら、今度は恐ろしい南風が吹いて来て、それが
地響きをともなう勢いで村の家々を揺り動かしはじめた。-中略-とてもむし暑い不快な気分になる。これがフェーンだったのだ。

 

フェーン現象で気温がどれほど上がるの?

 津田正夫氏の「チロル」紹介文の最後に、「とてもむし暑い不快な気分になる」とありました。

 そこで、大雑把ながら何℃の南風が吹いてきたのかを図-4で求めてみます。

 図-4

 風は地中海(標高0m)を北へ発し、3500mのアルプス山脈を越えて、津田氏の滞在する標高500m地点に南風が吹き降りた-ものとします。(図-4は標高0m地点まで吹き降りた時の、温度表示となっているので、500mの横の線と「青」、「黄緑」、「桃」、「赤」各斜線との交点の示す温度が、「津田氏の滞在する標高500m地点での温度」となります。) 


 条件を四つの場合-「青」、「黄緑」、「桃」、「赤」にわけてみました。



 ① 「青」

 20℃の風が北へ向かって吹き上がり、標高0m~標高500mの間は雲は発生せず、標高500mから雲が発生。3500mまで雲が発生し続け、アルプス山脈を越えてからは雲が消えて、標高500m地点に吹き降りた時、気温は「30℃」



 ② 「黄緑」

 20℃の風が北へ向かって吹き上がったが、標高0mから3500mまで雲が発生し続け、アルプス山脈を越えてからは雲が消えて、標高500m地点に吹き降りた時、気温は「32.5℃」


 ③ 「桃」

 25℃の風が北へ向かって吹き上がり、標高0m~標高500mの間は雲は発生せず、標高500mから雲が発生。3500mまで雲が発生し続け、アルプス山脈を越えてからは雲が消えて、標高500m地点に吹き降りた時、気温は「35℃」



 ④ 「赤」

 25℃の風が北へ向かって吹き上がったが、標高0mから3500mまで雲が発生し続け、アルプス山脈を越えてからは雲が消えて、標高500m地点に吹き降りた時、気温は「37.5℃」
 

 さらに図-4で試してもらいたいのですが。指でなぞればすぐに分かるとおもいます。

 何℃の風でも良いが標高0mの地中海を出発し、全く雲が出来ず3500mのアルプス山脈を越えて標高0mのミュンヘン(が仮にあったとして)に吹き降りると、温度の上昇はない。雲が最初から最後まで出来放しでも、同じことになります。

 以上のことからフェーン現象について分かることは、「風下側(フェーン現象を受ける一帯)の温度」は、「風上側」の標高、吹き始めの気温、雲が形成されることとその標高、山越えの高さ、雲の消失、風下側の標高に規制されていることが分かります。

 なお、フェーン現象による高温の記録は山形での40.8℃ということです。

 

 

 図-5

 上の天気図は、気象庁観測による、2015年1月31日12:00観測、「各地の観測値と低気圧や前線の位置」、各地の観測値(日本式)[txt形式] 低気圧や前線の位置[txt形式] を基に作成したものです。

 モンゴル付近に1046hpaの高気圧、十勝沖に984hPaの発達した低気圧があって、等圧線は南北に伸び、非常に混んでいます。このため、日本付近では北西~北北西の強い風が吹き、雨や雪、霙(みぞれ)の天気となっています。

 この発達した低気圧の影響で、北海道羅臼(らうす)町では、暴風雪となり、積雪が180cmあまり、2月1日~3日まで町が孤立状態になりました。

 

 

 

 例年6月上旬から7月中・下旬にかけ、梅雨の季節を迎えます。


 この気象は日本特有ではなく中国では梅雨と書いて「メイユー」、韓国では「チャンマ」と呼ばれ東アジアに見られます。
 梅雨の原因はオホーツク海高気圧と太平洋高気圧ですが、問題は水深の浅い「オホーツク海」にあります。冬期間海洋は冷却されますが、海面で冷却された海水は密度が大きくなって(重くなり)沈降し、入れ替わりに深層の海水と入れ替わります-ところが、オホーツク海は浅く、凍結してしまいます。この凍結が「梅雨の始まり」と言えます。 
 10月上~中旬頃から、オホーツク海は北岸からは凍り始め、次第に中部海岸に広がっていきます。


 これが流氷となって宗谷岬、網走、知床、根室に現れます。冬が終わるに当たり、オホーツク海では海氷が融解、そしてオホーツク海へのシベリア大陸からの冷たい河川水(たとえばアムール川)が流入することにより、初夏にかけオホーツク海は極めて低温となります。この結果、海面に接する大気は冷却され、密度が大きくなって下降気流となり、冷たく湿ったオホーツク海高気圧が発生することになるわけです。

 2003(平成15)年7月21日の地上天気図(出典:気象庁札幌管区気象台)

 オホーツク海高気圧と冷夏
 オホーツク海高気圧が現れると、北日本には冷たく湿った空気が流れ込みやすい状況となり、低温で雨の降る天気が数日~数週間持続することがあります。
 このため日照や積算温度(毎日の気温の和)が減少することとなり(=冷夏)野菜・稲作・果樹栽培に重大な被害を及ぼすことがあります(=大冷害)。

 気象庁は「2018年6月29日関東・甲信地方が梅雨明けしたと見られる」と発表しました。1951年から統計をとりはじめていて「最速」の梅雨明けとなったことになります。平年より22日も早い梅雨明けですから、なんとも驚いてしまいます。

 

 

 

 春を意味する単語、英語=spring、ドイツ語=frühling、フランス語=printemps、スペイン語=primavera、ポルトガル語=fonte 。
 ところでfrühlingは、植物(山菜)の「ゼンマイ」ならびにバネの「ゼンマイ」をも意味し、英語のspringに「親戚関係」があります。printempsの発音は「プランタン」で百貨店の名前に使われていますね。

 春の字源は、「日」を受けて、草木の芽=「艸」が伸び出す様を表し、草木の芽が「張る」-とのことのようです。

 桜は気温が10℃を越えると咲き出します。緯度1度につき、大体6日の速度で北上するので、1月20日頃、北緯26度の沖縄で咲いた桜は、114日後の5月14日頃、北緯45度の北海道宗谷岬に到達する計算になります。

 「春の始まり」は2月14~17日頃。それまで勢力を保っていた「シベリア高気圧」に衰えが見られ始め、亜熱帯高圧帯の一部である「太平洋高気圧」が自己主張し始めます。

 すなわち春は、冬の季節風から夏の季節風への交代の時期といえます。衰退する「シベリア高気圧」と北へ伸展する「太平洋高気圧」との間に前線・低気圧が発生し、高気圧と交互に日本付近を通過するため、天気が周期的に変化する期間と言えます。

 春の周期的天気変化の説明を偏西風波動(「No.19 大気の構造」 ④大気の循環:図-4)の関係から行うと、以下のようになります。
 春が来ると それまで南下していた偏西風波動は徐々に北上し始めます。これに伴って偏西風波動の「山と谷」が3つ~4つ、日本上空に位置するようになります。偏西風波動の「山」(気圧の尾根)の東側には移動性高気圧が、偏西風波動の「谷」(気圧の谷)の東側には温帯低気圧が発生します。このため、3日~4日で天気が移り変わることになります。

 

 

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